待て、しかして希望せよ
公開 2025/11/24 20:00
最終更新
2025/11/24 21:02
🐾
その富豪は自宅にATMを所有していた。24時間利用可能で、いかなる場合でも手数料は無料である。もちろん行列などできようはずもない。
それだけでも尋常一様ならざることではあるが、さらに一度の引き出しにおける上限額は、銀行側との特別な契約によって300万円にまで引き上げられていた――いわゆる「裏設定」である。
彼――富豪――は日曜の深夜零時、銀行ロゴの入った特注のATMが鎮座しているキッチンに入り、大理石のカウンタートップに用意してきたカップヌードルを置き、それに熱湯を注いだ。
次に彼はATMに向かい、キャッシュカードを挿入した。画面を操作し、現金を引き出す。その額は300万円。
ダララララララッ! 小気味良い音を奏で、ATMは作動を始めた。富豪は最新のオートメーション調理設備に目を遣りながら、恍惚としつつその時を待った。
ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ…………ATMがその仕事を終え、動作を終了する。きっちり3分。
「さて、食べるとするか……『300万円のラーメン』を」
富豪にとっては、法外なアイテムであるプライベートATMでさえ、ときとして一種のキッチンタイマーと化すのであった――――
その富豪は自宅にATMを所有していた。24時間利用可能で、いかなる場合でも手数料は無料である。もちろん行列などできようはずもない。
それだけでも尋常一様ならざることではあるが、さらに一度の引き出しにおける上限額は、銀行側との特別な契約によって300万円にまで引き上げられていた――いわゆる「裏設定」である。
彼――富豪――は日曜の深夜零時、銀行ロゴの入った特注のATMが鎮座しているキッチンに入り、大理石のカウンタートップに用意してきたカップヌードルを置き、それに熱湯を注いだ。
次に彼はATMに向かい、キャッシュカードを挿入した。画面を操作し、現金を引き出す。その額は300万円。
ダララララララッ! 小気味良い音を奏で、ATMは作動を始めた。富豪は最新のオートメーション調理設備に目を遣りながら、恍惚としつつその時を待った。
ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ…………ATMがその仕事を終え、動作を終了する。きっちり3分。
「さて、食べるとするか……『300万円のラーメン』を」
富豪にとっては、法外なアイテムであるプライベートATMでさえ、ときとして一種のキッチンタイマーと化すのであった――――
