異(常世)界 第14話「剪定」
公開 2025/05/22 00:06
最終更新
2025/05/22 00:06
🐾
半径二キロメートル以内には誰もいないのを確認し、草原で目を閉じる。
「コール、存立平面」
セカイが広がっていった。
仮説は常に必要なものだ。自分でも忘れていたが、これでも学者なのだ。グレートフィルターがあるのなら、アンチ・グレートフィルターがあって然るべき。ゆえにこれから様々な世界を観察し、そいつを見つけ出してやる。
「うーん…………」
枝分かれしては申し合わせたかのように、一定のところで原始野へと回帰する世界群。思うに、観測者が21世紀までしか知らなければ、その先は見えないのではないのだろうか。
啓蒙の時代と呼ばれた18世紀を最後に、人間の精神が退化していった――これも仮説だ。ひとつ賢くなれば、二倍は凶悪な戦争を引き起こす、それが人間。
戦争の根拠を醸造した19世紀、世紀末な20世紀、そして――21世紀。
全世界をステージ=上段からフロア=下段へと移し替えようという、世俗的造物主=AIの誕生。言葉、意思、精神が、人間たちから少しずつ零れ落ちていく――情報こそが主体であり、情報こそが支配者なのだ。
いや、ポストモダニズムを展開している場合じゃないな。えーと、アレか。
目を遣ると、一本の枝が急成長し、その周辺の枝は萎んでいく。
徒長枝は忌み枝である。剪定せねばなるまい。
半径二キロメートル以内には誰もいないのを確認し、草原で目を閉じる。
「コール、存立平面」
セカイが広がっていった。
仮説は常に必要なものだ。自分でも忘れていたが、これでも学者なのだ。グレートフィルターがあるのなら、アンチ・グレートフィルターがあって然るべき。ゆえにこれから様々な世界を観察し、そいつを見つけ出してやる。
「うーん…………」
枝分かれしては申し合わせたかのように、一定のところで原始野へと回帰する世界群。思うに、観測者が21世紀までしか知らなければ、その先は見えないのではないのだろうか。
啓蒙の時代と呼ばれた18世紀を最後に、人間の精神が退化していった――これも仮説だ。ひとつ賢くなれば、二倍は凶悪な戦争を引き起こす、それが人間。
戦争の根拠を醸造した19世紀、世紀末な20世紀、そして――21世紀。
全世界をステージ=上段からフロア=下段へと移し替えようという、世俗的造物主=AIの誕生。言葉、意思、精神が、人間たちから少しずつ零れ落ちていく――情報こそが主体であり、情報こそが支配者なのだ。
いや、ポストモダニズムを展開している場合じゃないな。えーと、アレか。
目を遣ると、一本の枝が急成長し、その周辺の枝は萎んでいく。
徒長枝は忌み枝である。剪定せねばなるまい。
