異(常世)界 第9話「札束の行方」
公開 2025/05/22 00:04
最終更新
2025/05/22 00:04
「ちぃと答え見つけてきますわ」
ボスにそう告げて城を発ってからしばらく経つ。どういうわけか城からは遠ざかっておきたかった。たぶんK現象だな。
そりゃあ“おてんば姫”だって壁に穴ァあけるってなモンよ。
街をふらついているときに、転生者もとい逃亡者を特定できるようになった。目の輝きが違う。雰囲気が違う。そして――服装で『私は逃亡者です』と告げている。
しかしなぜだ……なぜ着替えない……? 転生が自分だけの特権だと思い込んでいるのか……?
そのおめでたさにおめでとう。
「金をよこせ、ありったけな?」
ボスにそう告げたときは、マジかよこいつという顔をされたものだが、結局は相当量の札束を巻き上げることに成功した。ボストンバッグ兼ショルダーバッグが膨らんでいるのは、つまりそういうことだ。
裏路地に入り、そこを抜けた路地裏は袋小路になっていた。だが、認識を変えるならキャンプ地だ。テントから、創意工夫を凝らしたダンボール・ハウスまで、いかにホームをレスしたか、かなり強い主張が感じられる。
ごとごと水車、ごとごとまわれ……か。
「一番偉いやつを呼んでこい」
「…………」
すぅ――とジャケットの懐からドスを取り出した。憂さ晴らしに制圧したダンジョンでのレア・ドロップ品。
確率は低いが混乱を付与する。下手な剣よりも攻撃力が高いところが気に入っていた。
「しかばね気取ってンじゃねェ! なますにしたらぁ!」
ホームレスの会員番号低めなやつは、行動で示してくれた。
「自分がいちおーリーダーなんですが……アンタ、王族関係の人じゃないですよね。どう見てもアナーキーですもん」
「そう、我が名はアナーキー・デスモン。ここが気に入ったから最高のダンボール・ハウスを建造して欲しい。食料は自前で調達する。便宜を図ってもらうにあたって、えーと、アン・ドゥ・トロワっと」
札束を三つ、手渡す。レス・リーダーはマジかよこいつとおおいに戸惑ったが、結局は相当量の札束を受け取ることを承諾した。
起きて半畳寝て一畳とはよくいったものだ。
城の寝室は人間を“割り算”してしまう。
KISSの原則(Keep it stupid simple)の逆、過度な装飾こそ、自己疎外の最たる例。
にしたってえれェところに“逃走線”を見い出しちまったモンだナ…………。
ボスにそう告げて城を発ってからしばらく経つ。どういうわけか城からは遠ざかっておきたかった。たぶんK現象だな。
そりゃあ“おてんば姫”だって壁に穴ァあけるってなモンよ。
街をふらついているときに、転生者もとい逃亡者を特定できるようになった。目の輝きが違う。雰囲気が違う。そして――服装で『私は逃亡者です』と告げている。
しかしなぜだ……なぜ着替えない……? 転生が自分だけの特権だと思い込んでいるのか……?
そのおめでたさにおめでとう。
「金をよこせ、ありったけな?」
ボスにそう告げたときは、マジかよこいつという顔をされたものだが、結局は相当量の札束を巻き上げることに成功した。ボストンバッグ兼ショルダーバッグが膨らんでいるのは、つまりそういうことだ。
裏路地に入り、そこを抜けた路地裏は袋小路になっていた。だが、認識を変えるならキャンプ地だ。テントから、創意工夫を凝らしたダンボール・ハウスまで、いかにホームをレスしたか、かなり強い主張が感じられる。
ごとごと水車、ごとごとまわれ……か。
「一番偉いやつを呼んでこい」
「…………」
すぅ――とジャケットの懐からドスを取り出した。憂さ晴らしに制圧したダンジョンでのレア・ドロップ品。
確率は低いが混乱を付与する。下手な剣よりも攻撃力が高いところが気に入っていた。
「しかばね気取ってンじゃねェ! なますにしたらぁ!」
ホームレスの会員番号低めなやつは、行動で示してくれた。
「自分がいちおーリーダーなんですが……アンタ、王族関係の人じゃないですよね。どう見てもアナーキーですもん」
「そう、我が名はアナーキー・デスモン。ここが気に入ったから最高のダンボール・ハウスを建造して欲しい。食料は自前で調達する。便宜を図ってもらうにあたって、えーと、アン・ドゥ・トロワっと」
札束を三つ、手渡す。レス・リーダーはマジかよこいつとおおいに戸惑ったが、結局は相当量の札束を受け取ることを承諾した。
起きて半畳寝て一畳とはよくいったものだ。
城の寝室は人間を“割り算”してしまう。
KISSの原則(Keep it stupid simple)の逆、過度な装飾こそ、自己疎外の最たる例。
にしたってえれェところに“逃走線”を見い出しちまったモンだナ…………。
