異(常世)界 第5話「衣食足りて礼節を知る」
公開 2025/05/22 00:03
最終更新
2025/05/22 00:03
🐾
城の地下、シチュエーションルーム(状況分析室)にて。
「こだわりカレーってのはいつだって“こだわって”ますねェ……?」
確認するまでもないようなことをあえて言葉にすると、地下室は氷点下へと陥った。
「オムレツもいつだって“特製”だ…………」
世界がひび割れる音がした。
「いやぁスマン、タスク過多でタブを閉じてしまっていたらしい」
ボスが誠意というタブを閉じたまま、そう釈明した。
「新しいウインドウに移しとかんかい、この素人がぁ……!」
客人が来たら晩餐会でもてなせ――とまでは言わないが、せめて夕食くらいは提供するべきだったのだ。
「こだわりカレーと特製オムレツですね、すぐに用意いたしますので」
私は魔法使いですと衣装で主張しているマダムがそう言って、部屋を出ていく。おそらくはキッチンへと向かったのだろう。
防御力はたったの一、魅力は六十五くらい上昇といったところか。あんな衣装、どこの腐れダンジョンで拾ったんだ? どう見てもSクラスに満たないアイテム。
ハクスラをなめるなよ……やるなら命がけでやれ。
昨夜のモヒカン野郎どもを思い浮かべた。
城内でのシュプレヒコールなど愚の骨頂とも思ったが、ともすれば迷子になりがちな言葉を定着させる手段としては悪くない。
「衣食足りて礼節を知る!」
スローガンを掲げると、ボスをはじめ一同はポカーンとした。
ここで知性の衰弱をとどめねばならない。退廃を始めたら、それはもはや荒廃と同じである。
「たるんどる! 衣食足りて礼節を知る! 復唱ーッ!!」
「「衣食足りて礼節を知る!!」」
城の地下、シチュエーションルーム(状況分析室)にて。
「こだわりカレーってのはいつだって“こだわって”ますねェ……?」
確認するまでもないようなことをあえて言葉にすると、地下室は氷点下へと陥った。
「オムレツもいつだって“特製”だ…………」
世界がひび割れる音がした。
「いやぁスマン、タスク過多でタブを閉じてしまっていたらしい」
ボスが誠意というタブを閉じたまま、そう釈明した。
「新しいウインドウに移しとかんかい、この素人がぁ……!」
客人が来たら晩餐会でもてなせ――とまでは言わないが、せめて夕食くらいは提供するべきだったのだ。
「こだわりカレーと特製オムレツですね、すぐに用意いたしますので」
私は魔法使いですと衣装で主張しているマダムがそう言って、部屋を出ていく。おそらくはキッチンへと向かったのだろう。
防御力はたったの一、魅力は六十五くらい上昇といったところか。あんな衣装、どこの腐れダンジョンで拾ったんだ? どう見てもSクラスに満たないアイテム。
ハクスラをなめるなよ……やるなら命がけでやれ。
昨夜のモヒカン野郎どもを思い浮かべた。
城内でのシュプレヒコールなど愚の骨頂とも思ったが、ともすれば迷子になりがちな言葉を定着させる手段としては悪くない。
「衣食足りて礼節を知る!」
スローガンを掲げると、ボスをはじめ一同はポカーンとした。
ここで知性の衰弱をとどめねばならない。退廃を始めたら、それはもはや荒廃と同じである。
「たるんどる! 衣食足りて礼節を知る! 復唱ーッ!!」
「「衣食足りて礼節を知る!!」」
