異(常世)界 第2話「中途のチュートリアル」
公開 2025/05/22 00:02
最終更新
2025/05/22 00:03
「で、何とお呼びすればいいんスかね? 魔王様とか?」
自分を窮地から救い出してくれたであろう人物に尋ねる。当て推量というわけではなく、大体の地位は伝わってきていた。つまり、コイツただモンじゃねェ……。
「おうコラ新入りがァ! よいよ、ものォ知らんではじけよりぁがって!」
側近らしき男に叱責された。これだけで低階級だと判る。しかし、何がトリガーとなって怒りが発動したのかがよくわからない。いうなれば“家具の怒り”であり、怒りそのものが目的なのだ。
ドッ! ゴッ! ガッ! その男は魔王様により瞬く間にノックダウン。
助走をつけた右のスマッシュで、しつけのなっていない部下を宙に放つ。空中で左のかかとを落とし相手を地面に叩きつけ、バウンドしたところに鉄山靠でフィニッシュ。
流れるような美しい仕打ちだが、最初から対話の余地を放棄した浅慮からの行動ともとれる。
「すまんすまん、ドクの好きに呼んでかまわないよ」
取り繕ったところで『爽やかな魔王様』とはならない。甘言に惑わされることなかれ。
左の胸元に白い糸で点描的な円をあしらったシャツ、左のポケットの下にも同様の装飾がしてあり、上下黒のセットアップではあるが、威圧感の中にも上品さが漂っている。
「そンなら“ボス”って呼ばせてもらいますわ。ところであの襲撃犯たちはどうなったんですかね?」
「きっちり“粛清”し、“然るべき場所”へ送っておいたよ」
「へぇー、向こうの世界にも干渉するだけの能力があると?」
「そうだね。だが立ち話で済ますようなことでもないので、まずは城に案内しよう。もちろん“城”と違ってたどり着けないなんてことはない」
ほう……と感心した。『変身』を読んだだけでカフカの全てを理解したと思い込むような、残念な頭の持ち主ではなく、実際に反小説『城』を読んでしまうような上位二パーセント。
こいつは退屈しないで済みそうだ。
自分を窮地から救い出してくれたであろう人物に尋ねる。当て推量というわけではなく、大体の地位は伝わってきていた。つまり、コイツただモンじゃねェ……。
「おうコラ新入りがァ! よいよ、ものォ知らんではじけよりぁがって!」
側近らしき男に叱責された。これだけで低階級だと判る。しかし、何がトリガーとなって怒りが発動したのかがよくわからない。いうなれば“家具の怒り”であり、怒りそのものが目的なのだ。
ドッ! ゴッ! ガッ! その男は魔王様により瞬く間にノックダウン。
助走をつけた右のスマッシュで、しつけのなっていない部下を宙に放つ。空中で左のかかとを落とし相手を地面に叩きつけ、バウンドしたところに鉄山靠でフィニッシュ。
流れるような美しい仕打ちだが、最初から対話の余地を放棄した浅慮からの行動ともとれる。
「すまんすまん、ドクの好きに呼んでかまわないよ」
取り繕ったところで『爽やかな魔王様』とはならない。甘言に惑わされることなかれ。
左の胸元に白い糸で点描的な円をあしらったシャツ、左のポケットの下にも同様の装飾がしてあり、上下黒のセットアップではあるが、威圧感の中にも上品さが漂っている。
「そンなら“ボス”って呼ばせてもらいますわ。ところであの襲撃犯たちはどうなったんですかね?」
「きっちり“粛清”し、“然るべき場所”へ送っておいたよ」
「へぇー、向こうの世界にも干渉するだけの能力があると?」
「そうだね。だが立ち話で済ますようなことでもないので、まずは城に案内しよう。もちろん“城”と違ってたどり着けないなんてことはない」
ほう……と感心した。『変身』を読んだだけでカフカの全てを理解したと思い込むような、残念な頭の持ち主ではなく、実際に反小説『城』を読んでしまうような上位二パーセント。
こいつは退屈しないで済みそうだ。
