畑
公開 2025/05/05 00:08
最終更新
2025/05/05 00:08
🐾
学校から帰ると、父に「おう、これ植えといてくれ」と頼まれ、サプリの袋のようなものを手渡された。
両面が真っ白で、中身はよく分からない。ただ、片面には黒の油性マジックで『8932』と書かれていた。
「ふーむ…………」
庭の畑で、袋の中身を確認する。
「なっ――!?」
これは大麻の種子……か? 留年して同級生となった元先輩の、スマホの待ち受け画面とそっくりだ。黒ずんだ小粒の種が「ぎらり」と言って威嚇し、俺の恐怖を加速させる。
「息子に犯罪の片棒を担がせる父親がいるだと……」
いや、ありえんな。俺の父は警察官だし。この畑も、父が趣味で耕しているものだ。将来的には副業で農業を始めると、よく口にしている。
俺は再度、念入りに袋の中身を確認した。ケシの種子には見えない。やはり大麻の種子だろうか? 官僚機構のひとつに過ぎない警察……押収したブツを横領……よく耳にする話だがしかし……。
ふと『8932』の文字が目に入った。アウトローと関係があるのか……?
いや、待てよ……? 『8932=ばくさつ=爆殺』――そんなありきたりで、だからこそ意味が限定される恐ろしい連想が、俺の頭をよぎった。
「“地雷畑”かよ…………」
さらに理解を超えてくる。種をよく見ると、鉛玉ペレットにも見えなくはない。とはいえ、こんな小粒な弾は存在しないだろう。在ったとしたら、革命軍も真っ青だ。
「おい、まだ始めてないのか。頼むよ、まったく……」
水を入れたジョウロを片手に、父がやってきた。
「父さん…………」
「ん……?」
「火力が足りない、これじゃ“モグラを一掃”できないよ……?」
結末を語ろう。
『8932』は『8931』の書き間違え、つまり『8931=はくさい=白菜』を意味していたのだった。
判ってしまえばなんてことはない、本当につまらない。
こんな平和が続く限り、我が家の畑では白菜が栽培されることだろう。
どうか“地雷を設置する”必要に迫られませんように――――
学校から帰ると、父に「おう、これ植えといてくれ」と頼まれ、サプリの袋のようなものを手渡された。
両面が真っ白で、中身はよく分からない。ただ、片面には黒の油性マジックで『8932』と書かれていた。
「ふーむ…………」
庭の畑で、袋の中身を確認する。
「なっ――!?」
これは大麻の種子……か? 留年して同級生となった元先輩の、スマホの待ち受け画面とそっくりだ。黒ずんだ小粒の種が「ぎらり」と言って威嚇し、俺の恐怖を加速させる。
「息子に犯罪の片棒を担がせる父親がいるだと……」
いや、ありえんな。俺の父は警察官だし。この畑も、父が趣味で耕しているものだ。将来的には副業で農業を始めると、よく口にしている。
俺は再度、念入りに袋の中身を確認した。ケシの種子には見えない。やはり大麻の種子だろうか? 官僚機構のひとつに過ぎない警察……押収したブツを横領……よく耳にする話だがしかし……。
ふと『8932』の文字が目に入った。アウトローと関係があるのか……?
いや、待てよ……? 『8932=ばくさつ=爆殺』――そんなありきたりで、だからこそ意味が限定される恐ろしい連想が、俺の頭をよぎった。
「“地雷畑”かよ…………」
さらに理解を超えてくる。種をよく見ると、鉛玉ペレットにも見えなくはない。とはいえ、こんな小粒な弾は存在しないだろう。在ったとしたら、革命軍も真っ青だ。
「おい、まだ始めてないのか。頼むよ、まったく……」
水を入れたジョウロを片手に、父がやってきた。
「父さん…………」
「ん……?」
「火力が足りない、これじゃ“モグラを一掃”できないよ……?」
結末を語ろう。
『8932』は『8931』の書き間違え、つまり『8931=はくさい=白菜』を意味していたのだった。
判ってしまえばなんてことはない、本当につまらない。
こんな平和が続く限り、我が家の畑では白菜が栽培されることだろう。
どうか“地雷を設置する”必要に迫られませんように――――
