2022年の紙飛行機の日に寄せて
公開 2023/08/04 09:50
最終更新
2023/08/04 23:12
💎商2部以降 エトラ左右なし
荷物を探しに行ったら、書斎の棚から少し懐かしいものが出てきた。
前に使ったのはいつだったのか。
少なくとも本来使用する用途ではなく、何かの飾りつけに使ったような気がする。
正方形の、色とりどりの紙。
当初の目的である探し物とそれを手に、ふむとひとつ首を傾げる。
ああ、そうか。
そういえば、今日は確か——。
「器用なものですね」
リビングの机でせっせと見つけた紙を折っていると、上から優しいトーンの声が降ってきた。
ふんわりと落ちてきたそれを零さないよう、掬い上げるように顔を上げれば、見上げた相手が少し屈んでいるからだろうか、柔らかなはちみつ色がふわりと揺れる。
「紙飛行機ですか」
「そう。さっき部屋で折り紙を見つけてさ。多分、いつかのパーティーで使ったあと残ってたやつだと思うんだけど」
「左様ですか。それにしても、たくさん折ったものですね」
感心したとでも言うような声音の持ち主は、崩さないようにだろうか、テーブルの上に並べたナカタ3号機をそっと手の上に乗せる。
そう、現在テーブルの上にはナカタ1号機から番号を付けたいくつかの紙飛行機がフライトを待って並んでいるのだ。
折り始めたら楽しくなってしまったこともあるが、紙飛行機にも色々な折り方があったよなあと、あらためてウェブを検索してしまったりして、ついつい形も種類も増やしてしまった。
紙飛行機も競技大会なんてものがあるくらいなのだから、検索してみるとなかなか奥が深い。
「うん、やり出したらなんだか楽しくて。でもこれで最後にしておくよ」
「もうよろしいので?」
「凝り出したらキリがないからさ。ああ、そうだ。リチャード、そっち座っててくれないか」
手元で折っていた一枚も最後の一折を済ませて少し角度を見てから、面白そうに紙の飛行機たちを眺めていたリチャードに声をかける。
まあまあ、座って座って、とソファーを勧めれば、今度は何だと呆れ半分の顔をしながらも付き合ってくれるあたり、本当にこいつは優しい奴だと思う。
白い手に乗せられていたナカタ3号も丁重に引き取って、テーブルの上の紙飛行機たちの待機所へ。
「まっすぐ飛ぶかわからないけどさ、届いたら受け取ってくれるか?」
飛行テストかと笑う彼には、そんなところだと返したけれど。
この紙飛行機には、一機ずつ、特別なものも乗っている。
『ありがとう』
『大好きです』
『世界で一番綺麗だ』
『今日のおやつはプリンです』
たとえまっすぐ飛ばなかったとしても。
きっとあの優しい膝元まで届くだろう。
『愛しています』
飛べ、空高く。
『GO HIGH』
2022/5/8 Twitter投稿:再掲
荷物を探しに行ったら、書斎の棚から少し懐かしいものが出てきた。
前に使ったのはいつだったのか。
少なくとも本来使用する用途ではなく、何かの飾りつけに使ったような気がする。
正方形の、色とりどりの紙。
当初の目的である探し物とそれを手に、ふむとひとつ首を傾げる。
ああ、そうか。
そういえば、今日は確か——。
「器用なものですね」
リビングの机でせっせと見つけた紙を折っていると、上から優しいトーンの声が降ってきた。
ふんわりと落ちてきたそれを零さないよう、掬い上げるように顔を上げれば、見上げた相手が少し屈んでいるからだろうか、柔らかなはちみつ色がふわりと揺れる。
「紙飛行機ですか」
「そう。さっき部屋で折り紙を見つけてさ。多分、いつかのパーティーで使ったあと残ってたやつだと思うんだけど」
「左様ですか。それにしても、たくさん折ったものですね」
感心したとでも言うような声音の持ち主は、崩さないようにだろうか、テーブルの上に並べたナカタ3号機をそっと手の上に乗せる。
そう、現在テーブルの上にはナカタ1号機から番号を付けたいくつかの紙飛行機がフライトを待って並んでいるのだ。
折り始めたら楽しくなってしまったこともあるが、紙飛行機にも色々な折り方があったよなあと、あらためてウェブを検索してしまったりして、ついつい形も種類も増やしてしまった。
紙飛行機も競技大会なんてものがあるくらいなのだから、検索してみるとなかなか奥が深い。
「うん、やり出したらなんだか楽しくて。でもこれで最後にしておくよ」
「もうよろしいので?」
「凝り出したらキリがないからさ。ああ、そうだ。リチャード、そっち座っててくれないか」
手元で折っていた一枚も最後の一折を済ませて少し角度を見てから、面白そうに紙の飛行機たちを眺めていたリチャードに声をかける。
まあまあ、座って座って、とソファーを勧めれば、今度は何だと呆れ半分の顔をしながらも付き合ってくれるあたり、本当にこいつは優しい奴だと思う。
白い手に乗せられていたナカタ3号も丁重に引き取って、テーブルの上の紙飛行機たちの待機所へ。
「まっすぐ飛ぶかわからないけどさ、届いたら受け取ってくれるか?」
飛行テストかと笑う彼には、そんなところだと返したけれど。
この紙飛行機には、一機ずつ、特別なものも乗っている。
『ありがとう』
『大好きです』
『世界で一番綺麗だ』
『今日のおやつはプリンです』
たとえまっすぐ飛ばなかったとしても。
きっとあの優しい膝元まで届くだろう。
『愛しています』
飛べ、空高く。
『GO HIGH』
2022/5/8 Twitter投稿:再掲
