動作のお題20-04
公開 2023/08/24 11:52
最終更新
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💎商2部以降 秘書時空 エトラ左右なし
※動作のお題は、お題から想像したイラスト・風景を挿絵にしたらどんな文章になるかと考えて書いていっているシリーズです。
直接動作と関係ない話になっている可能性もありますが、想像上のイラスト(頭の中だけ)からの二重変換のため、ふわっと雰囲気で読んで下さい。
——暑い。
「あっついなあ」
自分の心の声が隣を歩く人物の口から出たようで、思わず隣を見てしまえば、ぱたぱたと手で顔を扇いでいた正義と目が合った。
台風が通り過ぎたばかりの晴れた日中。強い雨風と共に駆けあがっていった雲のかたまりは、引き連れてきた暑気だけ残してはるか北だ。
「? ああ、ごめん、ちゃんと豊川さまのお宅に到着前には整えるから」
「いえ、そうではなく……私も同じように思っていましたので。まだ時間もありますし、一度近くで休憩にしましょうか」
「賛成。だけど、もうちょっと近くまで行ってからにしないとまた汗だくだな」
これはタクシーを使う方が正解だった、と少しげんなりつぶやきながらも隣の歩みは変わらない。
早すぎず、遅すぎず。
無理にこちらに合わせるのでもなく、こちらが無理に合わせるのでもなく。
いつから彼は、こんなにも自然に隣を歩くようになったのだろう。
唐突に胸に迫るのは、自転車を引きながら歩いた夕焼けの道。
「正義」
「ん?」
思わず名前を呼んでしまって、よどみなく運ばれていた正義の足がぴたりと止まる。
何か言うべきことがあっての呼びかけではない。
だが。
「頼りにしています」
驚いたように明るいアンバーが瞬く一拍の間に、強い風が吹き抜けていく。
暑気をさらう、ひやりとした冷たさを含んだ澄んだ風。
陽光に輝いた笑顔を連れて、進む季節はもうすぐ、秋。
『歩く』
2022/9/8 Twitter投稿:再掲
動作のお題20
(配布元:追憶の苑 http://farfalle.x0.to/ )
※動作のお題は、お題から想像したイラスト・風景を挿絵にしたらどんな文章になるかと考えて書いていっているシリーズです。
直接動作と関係ない話になっている可能性もありますが、想像上のイラスト(頭の中だけ)からの二重変換のため、ふわっと雰囲気で読んで下さい。
——暑い。
「あっついなあ」
自分の心の声が隣を歩く人物の口から出たようで、思わず隣を見てしまえば、ぱたぱたと手で顔を扇いでいた正義と目が合った。
台風が通り過ぎたばかりの晴れた日中。強い雨風と共に駆けあがっていった雲のかたまりは、引き連れてきた暑気だけ残してはるか北だ。
「? ああ、ごめん、ちゃんと豊川さまのお宅に到着前には整えるから」
「いえ、そうではなく……私も同じように思っていましたので。まだ時間もありますし、一度近くで休憩にしましょうか」
「賛成。だけど、もうちょっと近くまで行ってからにしないとまた汗だくだな」
これはタクシーを使う方が正解だった、と少しげんなりつぶやきながらも隣の歩みは変わらない。
早すぎず、遅すぎず。
無理にこちらに合わせるのでもなく、こちらが無理に合わせるのでもなく。
いつから彼は、こんなにも自然に隣を歩くようになったのだろう。
唐突に胸に迫るのは、自転車を引きながら歩いた夕焼けの道。
「正義」
「ん?」
思わず名前を呼んでしまって、よどみなく運ばれていた正義の足がぴたりと止まる。
何か言うべきことがあっての呼びかけではない。
だが。
「頼りにしています」
驚いたように明るいアンバーが瞬く一拍の間に、強い風が吹き抜けていく。
暑気をさらう、ひやりとした冷たさを含んだ澄んだ風。
陽光に輝いた笑顔を連れて、進む季節はもうすぐ、秋。
『歩く』
2022/9/8 Twitter投稿:再掲
動作のお題20
(配布元:追憶の苑 http://farfalle.x0.to/ )
