動作のお題20-03
公開 2023/08/23 16:43
最終更新
2023/08/23 16:48
💎商3部時空 ジロサブ合流後 エトラ左右なし
※動作のお題は、お題から想像したイラスト・風景を挿絵にしたらどんな文章になるかと考えて書いていっているシリーズです。
直接動作と関係ない話になっている可能性もありますが、想像上のイラスト(頭の中だけ)からの二重変換のため、ふわっと雰囲気で読んで下さい。
「あー! もうギブ! ちょっと休憩ー!」
「お疲れ様です、正義」
「あ、ありがとう。もう九月だって言っても、やっぱりまだ暑いなあ」
「それは、あなたが運動してきたからなのでは」
からりと晴れた、夏と言うには遅く、秋と言うにはまだほんの少し早い季節の午前中。
正義は学校行事の振替で平日に休みができたみのると自分たちの休みを合わせて、ジローとサブローも連れて少し遠いが広々としたドッグランに来ていた。久々にだだっ広い自然の中を走れるとあって、二匹の愛犬たちは初めからずっとハイテンションだ。
走って、じゃれて、また走って。
喜びを爆発させる犬たちにつられて、人間側の方もテンションが上がる。
今まで動物を飼ったことがないと言っていたみのるは、スリランカからやってきたジローとサブローに引き合わせた当初は少し戸惑っていたようだったが、いつの間にか随分と二匹と仲良くなったらしい。一旦休憩に戻ってきた正義の分も、元気な二匹にじゃれつかれながら走っている。
ジローとサブローは二匹してついてきていますか、もっと一緒に遊びましょう、とでも言っているようだ。もしかすると、二匹からしたらみのるは新しい弟ができたような感覚なのかもしれない。
疲れたら休憩に戻っておいでと声をかけた正義には、それぞれ大きく揺れる手と鳴き声で返事が返ってきた。
汗をぬぐいながらパタパタと服の襟を摘まんで風を送っていると、正義の目の前に水筒のコップがすっと差し出された。ありがたく礼を言いながら受け取って一気に飲み干し、盛大に息を吐きながら広げたレジャーシートの上に正義がごろりと寝転がれば、すぐ隣からくつくつと柔らかい音が降ってくる。
その音が、あまり聞かない色を含んでいるようで。
「リチャード?」
どうかしたか、と正義が顔を向けると、まるで空の色に溶けてしまいそうな透き通る青が見ていた。
「いえ。なにも」
それに答えるリチャードの声音も、瞳の色も変わりはない。
いつも、何度も見ている色だ。
それなのに、刻一刻と表情を変える天空のように、いつどの瞬間に見てもああ綺麗だと思う、大好きな色だ。
胸の奥が締め付けられて、涙がこぼれてしまいそうなほどに。
何かが言いたい。
でも、何も言葉が見つからない。
そんな正義を見下ろしたままのリチャードは、何を思っただろうか。
白い指がついっと持ち上がって、汗で額に貼りついていたらしい正義の前髪にゆるりと細い白が通る。
「 」
「ワン、ワン!」
「ワフッ!」
「ジロー、サブロー! 待ってってば!」
「わぷ、うわ、わ、っぷわ!?」
何か言いかけたリチャードの唇がやけにゆっくり開くのを見たと思った瞬間、飛び込んできた茶色いかたまりに正義の視界が埋まった。
わんわん、ごしゅじんなんで寝てるんですか、わふわふ、せっかくなんだからもっと遊びましょう、ごめんなさい正義さん、追いつけませんでした、そんな聞こえたり聞こえなかったりする声の向こうでまた楽しそうに笑う声。
その笑い声の主が顔の真上に乗っている一匹を持ち上げてくれたのだろう。
正義が寝転がったまま見上げた向こうに広がるのは、
気持ちよさそうな細い雲が泳ぐ高い空と、
両の腕から溢れるほどの愛しい彼の宝物たち。
『寝転がる』
2023/9/7 Twitter投稿:再掲
動作のお題20
(配布元:追憶の苑 http://farfalle.x0.to/ )
※動作のお題は、お題から想像したイラスト・風景を挿絵にしたらどんな文章になるかと考えて書いていっているシリーズです。
直接動作と関係ない話になっている可能性もありますが、想像上のイラスト(頭の中だけ)からの二重変換のため、ふわっと雰囲気で読んで下さい。
「あー! もうギブ! ちょっと休憩ー!」
「お疲れ様です、正義」
「あ、ありがとう。もう九月だって言っても、やっぱりまだ暑いなあ」
「それは、あなたが運動してきたからなのでは」
からりと晴れた、夏と言うには遅く、秋と言うにはまだほんの少し早い季節の午前中。
正義は学校行事の振替で平日に休みができたみのると自分たちの休みを合わせて、ジローとサブローも連れて少し遠いが広々としたドッグランに来ていた。久々にだだっ広い自然の中を走れるとあって、二匹の愛犬たちは初めからずっとハイテンションだ。
走って、じゃれて、また走って。
喜びを爆発させる犬たちにつられて、人間側の方もテンションが上がる。
今まで動物を飼ったことがないと言っていたみのるは、スリランカからやってきたジローとサブローに引き合わせた当初は少し戸惑っていたようだったが、いつの間にか随分と二匹と仲良くなったらしい。一旦休憩に戻ってきた正義の分も、元気な二匹にじゃれつかれながら走っている。
ジローとサブローは二匹してついてきていますか、もっと一緒に遊びましょう、とでも言っているようだ。もしかすると、二匹からしたらみのるは新しい弟ができたような感覚なのかもしれない。
疲れたら休憩に戻っておいでと声をかけた正義には、それぞれ大きく揺れる手と鳴き声で返事が返ってきた。
汗をぬぐいながらパタパタと服の襟を摘まんで風を送っていると、正義の目の前に水筒のコップがすっと差し出された。ありがたく礼を言いながら受け取って一気に飲み干し、盛大に息を吐きながら広げたレジャーシートの上に正義がごろりと寝転がれば、すぐ隣からくつくつと柔らかい音が降ってくる。
その音が、あまり聞かない色を含んでいるようで。
「リチャード?」
どうかしたか、と正義が顔を向けると、まるで空の色に溶けてしまいそうな透き通る青が見ていた。
「いえ。なにも」
それに答えるリチャードの声音も、瞳の色も変わりはない。
いつも、何度も見ている色だ。
それなのに、刻一刻と表情を変える天空のように、いつどの瞬間に見てもああ綺麗だと思う、大好きな色だ。
胸の奥が締め付けられて、涙がこぼれてしまいそうなほどに。
何かが言いたい。
でも、何も言葉が見つからない。
そんな正義を見下ろしたままのリチャードは、何を思っただろうか。
白い指がついっと持ち上がって、汗で額に貼りついていたらしい正義の前髪にゆるりと細い白が通る。
「 」
「ワン、ワン!」
「ワフッ!」
「ジロー、サブロー! 待ってってば!」
「わぷ、うわ、わ、っぷわ!?」
何か言いかけたリチャードの唇がやけにゆっくり開くのを見たと思った瞬間、飛び込んできた茶色いかたまりに正義の視界が埋まった。
わんわん、ごしゅじんなんで寝てるんですか、わふわふ、せっかくなんだからもっと遊びましょう、ごめんなさい正義さん、追いつけませんでした、そんな聞こえたり聞こえなかったりする声の向こうでまた楽しそうに笑う声。
その笑い声の主が顔の真上に乗っている一匹を持ち上げてくれたのだろう。
正義が寝転がったまま見上げた向こうに広がるのは、
気持ちよさそうな細い雲が泳ぐ高い空と、
両の腕から溢れるほどの愛しい彼の宝物たち。
『寝転がる』
2023/9/7 Twitter投稿:再掲
動作のお題20
(配布元:追憶の苑 http://farfalle.x0.to/ )
