一次創作小説 月の光と星の導き
公開 2026/02/05 12:19
最終更新
2026/02/05 21:16
―ここは人間界。
2人の人間が、戦っていた。
大人の男と、少女。
男―イストは少女―レラに声をかける。
「まだ行けるかい?」
「あたしはまだ行けるわよ!」
この2人は親子で、イストは現在の勇者だ。
何故この2人は戦っているのか?
その理由は、レラが魔界へ行きたいと言い出したのがきっかけだった。
レラは強い相手を探していたのだが、人間相手では物足りなくなってしまい、魔界になら強い相手がいると思ったからだ。
しかし、魔界は危険な場所。
イストは魔界へ何度か行ったことがあるので、魔界が危険なことはわかっていた。
そこで、イストはレラの実力を確かめるためにレラと勝負し、レラが勝てば魔界へ行っても良いということになったのだ。
さて、2人の勝負へ戻ろう―そろそろ勝負は終わる頃だ。
「さあ、そろそろ終わりにしてあげる!」
レラが特大の雷魔法を放つ。
彼女の魔法は範囲よりも威力重視だ。
疲れていたイストは魔法を避けきれず、攻撃をくらい、片膝をついた。
「くっ…やるようになったね、レラ」
「ふん、まだ行けるかしら?」
イストはふう、と息を吐いてからゆっくりと立ち上がった。
「いや、ここまでにしようか。よく頑張ったね」
「そ、それじゃあ…」
イストはうんうん、と頷いた。
「きみの勝ちだよ、レラ。こんなに強くなっていたなんて…流石は僕の娘だ」
イストの言葉を聞いて、レラはすっかり機嫌が良くなった。
「当然でしょ?…で、勇者についてはまだなわけ?」
「それはまた別の話だよ。きみにはもっといろんなことを学んでから、正式に勇者になってもらいたいからね」
「ふぅん…まあこれで魔界に行ってもいいってことになったんだから、早速…!」
今すぐにでも魔界へ行きたそうなレラをイストは引き止めた。
「待って待って、今戦ったばかりなのに魔界へ行くつもりなのかい?少し休んでからでもいいんだよ」
「…それもそうね、万全の状態で行った方がいいもの」
―
2人はしっかり休んだあと、魔界へ通じる道へ来ていた。
「僕はいつもここから魔界へ行ってるんだ」
「へえ…なんだか不気味ね」
不気味と言いつつも、レラは怖いとは思っていなかった。
怖さよりも、新たな場所へ行けるワクワクが勝っていたのだ。
「それじゃ、行って来るわね!」
「うん、行ってらっしゃい」
レラが魔界へ行ったあと、イストは少し暗い顔をした。
「…本当はレラには魔界に行ってほしくなかったんだけどね。これも何かの導きってやつなのかな?」
―
「さて!来たわよ魔界!…ここってどの辺りなのかしら?まあ、いろいろ行ってみましょ」
レラは、どこかを目指しているというわけではない。
強い相手と戦えるなら、どこでも構わなかった。
しかし―
「…この魔物も強くないわね。本当に魔界って強いヤツの集まりなの?」
レラが出会った魔物は、あまり強くなかった。
魔界の魔物といっても、強さにはバラつきがある。
…とはいえ、レラは強い方に入るので、下級の魔物だと大したことが無いように感じるのだが。
―
一方その頃。
2人の悪魔が、魔界をぶらぶらと歩いていた。
魔王ロディルと、料理人のリヒトだ。
2人は今日もいつも通りに過ごしていた。
「ねえリヒト〜、今日のご飯は何にするの?」
「そうだな…カレーライスとかどうだ?」
「カレーライスかあ!そろそろ食べたいと思ってたんだよね〜」
「ロディル、お前は顔に出すぎだと思うぞ…」
ロディルはそんなこと無いよ、という顔をした。
この日も特に何事も無く終わる…2人はそう思っていた。
―ロディルが、あるものを見つけるまでは。
「あれっ、あそこで誰か戦ってない?」
「そうみたいだな」
視線の先には少女が魔物と戦っているのが見えた。
「僕、あの子を助けに行くよ!」
「お前、またそうやって…全く、しょうがねぇヤツだ」
ロディルは少女の元へ向かい、リヒトはそのあとを追った。
「ねえ、キミ!僕と一緒に魔物達を倒そう!」
「えっ…?まあいいけど」
少女は、突然現れたロディルに少し驚いていた。
そこへ、少し遅れてきたリヒトが言った。
「仕方ねぇからオレも手伝うぜ」
「何よそれ!まるで手伝う気が無いみたいじゃない!」
「ちょっと2人とも!ケンカはこの魔物達を倒してからにしてよ!」
3人は協力して魔物を倒した。
少女は2人に質問した。
「えーっと、あんた達は誰?」
リヒトが答える。
「オレはリヒト、そしてこっちにいるのが魔王ロディルだ」
「ちょ、ちょっと…勝手に魔王って言わないでよ、リヒト…」
ロディルは少ししょんぼりしつつも、少女に聞いた。
「つい助けちゃったけど…キミは何者?魔界の人じゃなさそうだね」
少女は待ってましたと言わんばかりに答えた。
「あたしはレラ!強い相手を探しにきた勇者よ!…まあ、勇者ってのは正式じゃないけど。あと、ちゃんと人間だからね!!」
リヒトがつまらなそうに言った。
「なんだよ、それってつまり自称勇者ってことじゃねぇか」
「いつかは勇者になるのよ!何か文句ある?」
「文句ったってなあ…」
このままだとリヒトとレラの言い合いが始まってしまうと思ったロディルは話題を変えることにした。
「気になってることがあるんだけど、レラはどうして魔界に来たの?」
「決まってるじゃない!強いヤツを探すためよ!」
「はあ〜、面倒くせぇのが来たなこりゃ…」
「なんですって!?」
せっかく話題を変えたのに、リヒトとレラはまた言い合いをしそうになってしまっていたが、レラがふと何か気づいた様子で言った。
「…って、あんたさっき魔王ロディルって言ってたわよね!?魔王ってことは強いのかしら!?」
突然話題を振られ、ロディルは少し困った様子だった。
「え、うん…リヒトが言った通り、僕は魔王だけど…」
ロディルが最後まで言い終わらないうちにレラが喋り出す。
「…ってことはあんた、強いのよね?」
「それは…」
自信が無さそうなロディルの代わりに、リヒトが答えた。
「おう、そいつは強いぜ?なんてったって、魔王キアロの息子だからな」
「ちょっと待ってよ!何でそこで父さんの名前を出すんだ!」
レラは少し考えていた。
「(魔王キアロって、父さんがたまに言ってた人かしら?だけど、その人に息子がいるだなんて聞いてなかったわ…。でも、もしかしたらこれはチャンスかも)」
「どうしたの?レラ、急に黙っちゃって…」
「よし、決めたわ!ロディル、あたしと勝負しなさい!」
「………え?えぇっ!?」
「へえ、魔王と聞いてすぐに戦おうってのか。なかなかじゃねぇか」
レラの言葉を聞き、戸惑うロディルと、感心するリヒト。
「待ってよ!何でそうなるの!?」
「ロディル、あいつ言ってただろ。強いヤツを探しに来たって」
「いや、そうだけど…」
「いいことじゃねぇか。ほら、早く魔王のチカラを見せてやれよ」
何故かリヒトは乗り気だ。
よっぽど2人の戦いが見たいらしい。
ロディルは少し考えてから言った。
「悪いけど、今は無理だよ」
「なっ、おい!」
「何でよ!?」
リヒトとレラの反応は、ほぼ同時だった。
「レラ、キミの目的はわかった。でも、僕にはキミと戦う理由が無い」
「…つまり、戦う理由があればいいってこと?」
「そういうことだよ。僕は、もっとキミのことを知りたい。それからでも遅くはないと思うんだ」
「…わかったわ。あたしはいつか絶対、あんたと本気の勝負をしてみせる」
「………できれば、その時は来ないでほしいんだけどなあ」
ロディルの反応を見たレラが、リヒトに聞いた。
「…ねぇ、リヒト。ロディルって、いつもこんな感じなの?」
「ああ、残念だがこいつはいつもこうだ。人助けは積極的にするクセに、戦いはどうにかして回避しようとしやがる」
「へぇ、それはいいこと聞いたわ」
「何でだ?」
「だって、そういう相手と戦えるってことはとにかくすごいってことでしょ!?」
「…よくわからねぇが、やる気があるのはいいことだな」
「それじゃ、あたしはこれで」
話がいい感じに終わったところで、レラはその場を去ろうとしていた。
―が。
「…ねぇ、あたしは魔界に来たばかりだから、よかったらいろいろと教えてくれないかしら」
「はあ、しょうがねぇヤツだな…」
「まあまあ、せっかくなんだから、レラの話もいろいろ聞いてみたいな」
魔王ロディルと、自称勇者のレラ。
2人が本気の勝負をする時はやって来るのだろうか?
2人の人間が、戦っていた。
大人の男と、少女。
男―イストは少女―レラに声をかける。
「まだ行けるかい?」
「あたしはまだ行けるわよ!」
この2人は親子で、イストは現在の勇者だ。
何故この2人は戦っているのか?
その理由は、レラが魔界へ行きたいと言い出したのがきっかけだった。
レラは強い相手を探していたのだが、人間相手では物足りなくなってしまい、魔界になら強い相手がいると思ったからだ。
しかし、魔界は危険な場所。
イストは魔界へ何度か行ったことがあるので、魔界が危険なことはわかっていた。
そこで、イストはレラの実力を確かめるためにレラと勝負し、レラが勝てば魔界へ行っても良いということになったのだ。
さて、2人の勝負へ戻ろう―そろそろ勝負は終わる頃だ。
「さあ、そろそろ終わりにしてあげる!」
レラが特大の雷魔法を放つ。
彼女の魔法は範囲よりも威力重視だ。
疲れていたイストは魔法を避けきれず、攻撃をくらい、片膝をついた。
「くっ…やるようになったね、レラ」
「ふん、まだ行けるかしら?」
イストはふう、と息を吐いてからゆっくりと立ち上がった。
「いや、ここまでにしようか。よく頑張ったね」
「そ、それじゃあ…」
イストはうんうん、と頷いた。
「きみの勝ちだよ、レラ。こんなに強くなっていたなんて…流石は僕の娘だ」
イストの言葉を聞いて、レラはすっかり機嫌が良くなった。
「当然でしょ?…で、勇者についてはまだなわけ?」
「それはまた別の話だよ。きみにはもっといろんなことを学んでから、正式に勇者になってもらいたいからね」
「ふぅん…まあこれで魔界に行ってもいいってことになったんだから、早速…!」
今すぐにでも魔界へ行きたそうなレラをイストは引き止めた。
「待って待って、今戦ったばかりなのに魔界へ行くつもりなのかい?少し休んでからでもいいんだよ」
「…それもそうね、万全の状態で行った方がいいもの」
―
2人はしっかり休んだあと、魔界へ通じる道へ来ていた。
「僕はいつもここから魔界へ行ってるんだ」
「へえ…なんだか不気味ね」
不気味と言いつつも、レラは怖いとは思っていなかった。
怖さよりも、新たな場所へ行けるワクワクが勝っていたのだ。
「それじゃ、行って来るわね!」
「うん、行ってらっしゃい」
レラが魔界へ行ったあと、イストは少し暗い顔をした。
「…本当はレラには魔界に行ってほしくなかったんだけどね。これも何かの導きってやつなのかな?」
―
「さて!来たわよ魔界!…ここってどの辺りなのかしら?まあ、いろいろ行ってみましょ」
レラは、どこかを目指しているというわけではない。
強い相手と戦えるなら、どこでも構わなかった。
しかし―
「…この魔物も強くないわね。本当に魔界って強いヤツの集まりなの?」
レラが出会った魔物は、あまり強くなかった。
魔界の魔物といっても、強さにはバラつきがある。
…とはいえ、レラは強い方に入るので、下級の魔物だと大したことが無いように感じるのだが。
―
一方その頃。
2人の悪魔が、魔界をぶらぶらと歩いていた。
魔王ロディルと、料理人のリヒトだ。
2人は今日もいつも通りに過ごしていた。
「ねえリヒト〜、今日のご飯は何にするの?」
「そうだな…カレーライスとかどうだ?」
「カレーライスかあ!そろそろ食べたいと思ってたんだよね〜」
「ロディル、お前は顔に出すぎだと思うぞ…」
ロディルはそんなこと無いよ、という顔をした。
この日も特に何事も無く終わる…2人はそう思っていた。
―ロディルが、あるものを見つけるまでは。
「あれっ、あそこで誰か戦ってない?」
「そうみたいだな」
視線の先には少女が魔物と戦っているのが見えた。
「僕、あの子を助けに行くよ!」
「お前、またそうやって…全く、しょうがねぇヤツだ」
ロディルは少女の元へ向かい、リヒトはそのあとを追った。
「ねえ、キミ!僕と一緒に魔物達を倒そう!」
「えっ…?まあいいけど」
少女は、突然現れたロディルに少し驚いていた。
そこへ、少し遅れてきたリヒトが言った。
「仕方ねぇからオレも手伝うぜ」
「何よそれ!まるで手伝う気が無いみたいじゃない!」
「ちょっと2人とも!ケンカはこの魔物達を倒してからにしてよ!」
3人は協力して魔物を倒した。
少女は2人に質問した。
「えーっと、あんた達は誰?」
リヒトが答える。
「オレはリヒト、そしてこっちにいるのが魔王ロディルだ」
「ちょ、ちょっと…勝手に魔王って言わないでよ、リヒト…」
ロディルは少ししょんぼりしつつも、少女に聞いた。
「つい助けちゃったけど…キミは何者?魔界の人じゃなさそうだね」
少女は待ってましたと言わんばかりに答えた。
「あたしはレラ!強い相手を探しにきた勇者よ!…まあ、勇者ってのは正式じゃないけど。あと、ちゃんと人間だからね!!」
リヒトがつまらなそうに言った。
「なんだよ、それってつまり自称勇者ってことじゃねぇか」
「いつかは勇者になるのよ!何か文句ある?」
「文句ったってなあ…」
このままだとリヒトとレラの言い合いが始まってしまうと思ったロディルは話題を変えることにした。
「気になってることがあるんだけど、レラはどうして魔界に来たの?」
「決まってるじゃない!強いヤツを探すためよ!」
「はあ〜、面倒くせぇのが来たなこりゃ…」
「なんですって!?」
せっかく話題を変えたのに、リヒトとレラはまた言い合いをしそうになってしまっていたが、レラがふと何か気づいた様子で言った。
「…って、あんたさっき魔王ロディルって言ってたわよね!?魔王ってことは強いのかしら!?」
突然話題を振られ、ロディルは少し困った様子だった。
「え、うん…リヒトが言った通り、僕は魔王だけど…」
ロディルが最後まで言い終わらないうちにレラが喋り出す。
「…ってことはあんた、強いのよね?」
「それは…」
自信が無さそうなロディルの代わりに、リヒトが答えた。
「おう、そいつは強いぜ?なんてったって、魔王キアロの息子だからな」
「ちょっと待ってよ!何でそこで父さんの名前を出すんだ!」
レラは少し考えていた。
「(魔王キアロって、父さんがたまに言ってた人かしら?だけど、その人に息子がいるだなんて聞いてなかったわ…。でも、もしかしたらこれはチャンスかも)」
「どうしたの?レラ、急に黙っちゃって…」
「よし、決めたわ!ロディル、あたしと勝負しなさい!」
「………え?えぇっ!?」
「へえ、魔王と聞いてすぐに戦おうってのか。なかなかじゃねぇか」
レラの言葉を聞き、戸惑うロディルと、感心するリヒト。
「待ってよ!何でそうなるの!?」
「ロディル、あいつ言ってただろ。強いヤツを探しに来たって」
「いや、そうだけど…」
「いいことじゃねぇか。ほら、早く魔王のチカラを見せてやれよ」
何故かリヒトは乗り気だ。
よっぽど2人の戦いが見たいらしい。
ロディルは少し考えてから言った。
「悪いけど、今は無理だよ」
「なっ、おい!」
「何でよ!?」
リヒトとレラの反応は、ほぼ同時だった。
「レラ、キミの目的はわかった。でも、僕にはキミと戦う理由が無い」
「…つまり、戦う理由があればいいってこと?」
「そういうことだよ。僕は、もっとキミのことを知りたい。それからでも遅くはないと思うんだ」
「…わかったわ。あたしはいつか絶対、あんたと本気の勝負をしてみせる」
「………できれば、その時は来ないでほしいんだけどなあ」
ロディルの反応を見たレラが、リヒトに聞いた。
「…ねぇ、リヒト。ロディルって、いつもこんな感じなの?」
「ああ、残念だがこいつはいつもこうだ。人助けは積極的にするクセに、戦いはどうにかして回避しようとしやがる」
「へぇ、それはいいこと聞いたわ」
「何でだ?」
「だって、そういう相手と戦えるってことはとにかくすごいってことでしょ!?」
「…よくわからねぇが、やる気があるのはいいことだな」
「それじゃ、あたしはこれで」
話がいい感じに終わったところで、レラはその場を去ろうとしていた。
―が。
「…ねぇ、あたしは魔界に来たばかりだから、よかったらいろいろと教えてくれないかしら」
「はあ、しょうがねぇヤツだな…」
「まあまあ、せっかくなんだから、レラの話もいろいろ聞いてみたいな」
魔王ロディルと、自称勇者のレラ。
2人が本気の勝負をする時はやって来るのだろうか?
