【6日目】お題「涙の理由」
公開 2024/10/10 21:17
最終更新
2024/10/10 22:09
12月下旬。世間はイルミネーションに彩られ、クリスマスに向けて浮かれている、そんな頃。
私は、2年付き合った彼氏と別れた。原因は、相手の浮気。曰く『彼女は俺にいい刺激をたくさんくれる。それに比べて、君は優しすぎてつまらない』とのこと。
優しすぎってなによ。つまらないってなによ。だからって浮気しないでよ。私はどうしたらよかったのよ。
いろいろ悔しくて、一晩泣いた。
泣いた翌日、泣いたからって綺麗さっぱり忘れられるものでもなくて、私はなかなか仕事に身が入らなかった。
そんな状態だったから、ミスを連発した。書類をばらまくわ、消しちゃいけないデータを消しちゃうわ、上司の前ですっ転ぶわ……。我ながらいろいろやらかした。
いろいろありすぎて、悲しくなってトイレで泣いた。
さらには、2年ぶりの恋人のいないクリスマス、好きなだけケーキを食べようと意気込んでいたのに、お腹にくる風邪を引いて、お粥しか食べられなかった。
なんかつらいなあ、って泣いた。
何やかんやあって、年末。
私の家に、父方の叔母家族が帰省してきた。私と同い年の従姉妹も一緒だった。その子が、今度結婚するらしい。家族はみんなその話で盛り上がっていた。相手の男性がどんなに素晴らしい人なのか、今どんなに幸せなのか、さんざん自慢されて、私はもう惨めでしょうがなかった。
私は、その場にいるのがつらくなって、スマホだけ持って近所の小さな公園に逃げ出した。
ベンチに座ってスマホでボーっとSNSを見る。
クリスマスで恋人から素敵なプレゼントをもらった話とか、実家に帰って愛犬と久しぶりに戯れてる写真とか、なんだかみんな幸せそうな投稿が多くて、気持ちが余計に暗くなってしまった。
恋人に浮気されて振られて、仕事も失敗ばっかりで、体調管理もままならなくて、将来もよくわからなくて。
どうしてこんなにつらいのかなぁ。わたしってどうして生きてるんだろうなぁ。
『もういなくなりたい』
『私なんて生きてても意味ない』
気づいたら、SNSに投稿していた。自分で送信したその文字を見て、余計に胸がギュッと痛んだ。
最近泣いてばかりいて涙腺が脆くなっているのか、涙まで溢れてきて情けない。でも、どうやっても止まらないのだからしょうがない。
どうせ独り。この投稿も、今の私も、誰も見てない。……誰も、気づいてくれるわけない。
それから何分経っただろうか。 公園の入り口の方から、私を呼ぶ声が聞こえた気がして、私はそちらへ顔を上げた。
そこにいるのは、幼馴染のアキちゃんに見えた。彼女が大学を卒業するまでは、よく2人で遊んでた。でも、もう5年は会ってなくて、今はSNSで繋がっているだけの間柄。
「もしかして、アキちゃん……?どうして……?」
問いかけとともに、雫がポロリと頬を伝った。
それを見て、彼女が駆け寄ってきてくれる。そして、ギュッと抱きしめられた。
私を抱きしめながら、彼女は叫ぶ。
「受験のとき凹みまくって死にそうだった私を助けてくれたこと、今でも感謝してる!ありがとう!!」
そう言えば、そんなこともあったっけ。どうして今そんなこと。
「この5年、SNS見て、カナちゃんもどっかで頑張ってるんだと思って、私も頑張ってた!一緒に頑張ってる気持ちになってた!」
見ててくれたんだ。さっきの私も、見つけてくれたんだ。だから、来てくれたんだ。
腕の力が緩められて、彼女と目が合う。優しくて、強い光が見えた。
「だから、大丈夫!!」
何が大丈夫なのか、よくわからなかったけれど。私はいてもいい存在なんだって、肯定してくれているみたいで。
嬉しくって、ありがとうって、私は泣いた。
https://kaku-app.web.app/p/VfYXahWmELDJyeMBRBSt
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お題「力を込めて」の2人だったり。
私は、2年付き合った彼氏と別れた。原因は、相手の浮気。曰く『彼女は俺にいい刺激をたくさんくれる。それに比べて、君は優しすぎてつまらない』とのこと。
優しすぎってなによ。つまらないってなによ。だからって浮気しないでよ。私はどうしたらよかったのよ。
いろいろ悔しくて、一晩泣いた。
泣いた翌日、泣いたからって綺麗さっぱり忘れられるものでもなくて、私はなかなか仕事に身が入らなかった。
そんな状態だったから、ミスを連発した。書類をばらまくわ、消しちゃいけないデータを消しちゃうわ、上司の前ですっ転ぶわ……。我ながらいろいろやらかした。
いろいろありすぎて、悲しくなってトイレで泣いた。
さらには、2年ぶりの恋人のいないクリスマス、好きなだけケーキを食べようと意気込んでいたのに、お腹にくる風邪を引いて、お粥しか食べられなかった。
なんかつらいなあ、って泣いた。
何やかんやあって、年末。
私の家に、父方の叔母家族が帰省してきた。私と同い年の従姉妹も一緒だった。その子が、今度結婚するらしい。家族はみんなその話で盛り上がっていた。相手の男性がどんなに素晴らしい人なのか、今どんなに幸せなのか、さんざん自慢されて、私はもう惨めでしょうがなかった。
私は、その場にいるのがつらくなって、スマホだけ持って近所の小さな公園に逃げ出した。
ベンチに座ってスマホでボーっとSNSを見る。
クリスマスで恋人から素敵なプレゼントをもらった話とか、実家に帰って愛犬と久しぶりに戯れてる写真とか、なんだかみんな幸せそうな投稿が多くて、気持ちが余計に暗くなってしまった。
恋人に浮気されて振られて、仕事も失敗ばっかりで、体調管理もままならなくて、将来もよくわからなくて。
どうしてこんなにつらいのかなぁ。わたしってどうして生きてるんだろうなぁ。
『もういなくなりたい』
『私なんて生きてても意味ない』
気づいたら、SNSに投稿していた。自分で送信したその文字を見て、余計に胸がギュッと痛んだ。
最近泣いてばかりいて涙腺が脆くなっているのか、涙まで溢れてきて情けない。でも、どうやっても止まらないのだからしょうがない。
どうせ独り。この投稿も、今の私も、誰も見てない。……誰も、気づいてくれるわけない。
それから何分経っただろうか。 公園の入り口の方から、私を呼ぶ声が聞こえた気がして、私はそちらへ顔を上げた。
そこにいるのは、幼馴染のアキちゃんに見えた。彼女が大学を卒業するまでは、よく2人で遊んでた。でも、もう5年は会ってなくて、今はSNSで繋がっているだけの間柄。
「もしかして、アキちゃん……?どうして……?」
問いかけとともに、雫がポロリと頬を伝った。
それを見て、彼女が駆け寄ってきてくれる。そして、ギュッと抱きしめられた。
私を抱きしめながら、彼女は叫ぶ。
「受験のとき凹みまくって死にそうだった私を助けてくれたこと、今でも感謝してる!ありがとう!!」
そう言えば、そんなこともあったっけ。どうして今そんなこと。
「この5年、SNS見て、カナちゃんもどっかで頑張ってるんだと思って、私も頑張ってた!一緒に頑張ってる気持ちになってた!」
見ててくれたんだ。さっきの私も、見つけてくれたんだ。だから、来てくれたんだ。
腕の力が緩められて、彼女と目が合う。優しくて、強い光が見えた。
「だから、大丈夫!!」
何が大丈夫なのか、よくわからなかったけれど。私はいてもいい存在なんだって、肯定してくれているみたいで。
嬉しくって、ありがとうって、私は泣いた。
https://kaku-app.web.app/p/VfYXahWmELDJyeMBRBSt
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お題「力を込めて」の2人だったり。