アドベントカレンダー1日目
公開 2023/12/01 18:58
最終更新
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今日からアドベントカレンダー始めます。途中でくじけたらごめんね。
折本データはこちらからDLできます。↓
https://flying.booth.pm/items/5303959
みんなで折本を折ろう!
プレゼントフォーユー
もみの木を母が植えたのは、「クリスマスに生まれたこの子といっしょに毎年成長してほしいから」らしい。『らしい』というのは、母にもう聞くすべはないからだ。父から聞いただけの話。
今年で中学生になる私の背丈をゆうに追い越したもみの木は、家の前に大きくそびえ立っている。ちょっと邪魔なくらいだ。なんせクリスマス以外は何に使うわけでもない。毎年、クリスマスの度にちょっと切り出して小さなクリスマスツリーにしてるぐらい。
「今年のクリスマスは、サンタさんに何をお願いするんだ?」
「いいよ、そういうの」
母に先立たれた父を支えてきたと思っている私は、その反動かどうも現実的な女の子に育っていた。誕生日がクリスマスでよかったと思う。誕生日とクリスマス、プレゼント一個で喜べるから。
「この前お皿が欠けちゃったから、代わりのお皿がほしいな」
「そんなの……」
「一番うれしいよ」
そう言って笑うと、父は困ったような顔をした。
「ひーちゃん、クリスマス会行かないの?」
「うん」
まっちゃんが言っているクリスマス会は、クラスの中心にいる子が企画したもので、プレゼント交換をするんだそうだ。
「私、プレゼント買えないから」
「そっかぁ」
まっちゃんは少し残念そうな顔を見せて、少ししてからいいことを思いついた、という風に手をたたいた。
「ひーちゃん、私とプレゼント交換しよう」
「え、だから私」
「買うの禁止ね。自分で何か作ったのを交換しよ」
約束ね!と言って、まっちゃんは走り去ってしまった。買わないもので、プレゼント。一体何を用意すればいいんだろうか。でも、ちょっとわくわくする自分がいた。
それから一週間。まっちゃんの好きなものや自分にできることを色々考えた。まっちゃんはかわいいものが好き。ヘアゴムもかわいいのをいっぱい持っている。だから、私が何かあげるまでもないだろう。じゃあ何なら喜んでくれるだろうか。
考え事をしながら、下を向いて歩いていると、もみの木の葉っぱに当たった。大きなもみの木を見上げる。私にできること。思いついたことがあった。でも、こんなもので喜んでもらえるだろうか。弱気を振り切って、家に駆けていった。
クリスマス当日。
まっちゃんを私の家に呼んだ。初めて友だちを自分の家に呼んだ。お父さんの邪魔になるといけないと思っていたから。家の前で、まっちゃんが立ち止まる。
「わぁ……!」
きらめく電飾。折り紙で作られたオーナメントが大きなもみの木に吊るされている。自慢じゃないけど、この近所では一番大きなクリスマスツリーになったと思う。
「すごいね! これがひーちゃんのプレゼント?」
「ううん、これもだけど、それだけじゃないの」
まっちゃんに差し出したのは、小さなクリスマスツリー。松ぼっくりを緑に塗って、ビーズで飾りつけした、私の手作りだ。
「かわいい!」
「これなら毎年使えるでしょ」
「うん!」
まっちゃんは喜んでもみの木と松ぼっくりをいっしょに並べて写真を撮った。
「私からはね、これ」
お母さんに教えてもらったんだ、と渡されたのは、私が好きな紺とまっちゃんが好きなピンクで作られたマフラーだった。
「私とおそろい!」
たしかに、まっちゃんが首に巻いているものと同じものだ。少し不格好だけれど、とてもあたたかい。
「あとねぇ、ケーキも焼いてきたんだ」
「器用だね」
「お母さんにいっぱい手伝ってもらったけど、私だって一生懸命お手伝いしたんだよ!」
嬉しそうなまっちゃんを見て、私も嬉しさがこみ上げる。お父さんに買ってもらった新しいお皿で、ケーキを食べよう。
誕生日とかクリスマスとか関係ない。誰かと過ごせる。それだけが嬉しい。
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プレゼントフォーユー
もみの木を母が植えたのは、「クリスマスに生まれたこの子といっしょに毎年成長してほしいから」らしい。『らしい』というのは、母にもう聞くすべはないからだ。父から聞いただけの話。
今年で中学生になる私の背丈をゆうに追い越したもみの木は、家の前に大きくそびえ立っている。ちょっと邪魔なくらいだ。なんせクリスマス以外は何に使うわけでもない。毎年、クリスマスの度にちょっと切り出して小さなクリスマスツリーにしてるぐらい。
「今年のクリスマスは、サンタさんに何をお願いするんだ?」
「いいよ、そういうの」
母に先立たれた父を支えてきたと思っている私は、その反動かどうも現実的な女の子に育っていた。誕生日がクリスマスでよかったと思う。誕生日とクリスマス、プレゼント一個で喜べるから。
「この前お皿が欠けちゃったから、代わりのお皿がほしいな」
「そんなの……」
「一番うれしいよ」
そう言って笑うと、父は困ったような顔をした。
「ひーちゃん、クリスマス会行かないの?」
「うん」
まっちゃんが言っているクリスマス会は、クラスの中心にいる子が企画したもので、プレゼント交換をするんだそうだ。
「私、プレゼント買えないから」
「そっかぁ」
まっちゃんは少し残念そうな顔を見せて、少ししてからいいことを思いついた、という風に手をたたいた。
「ひーちゃん、私とプレゼント交換しよう」
「え、だから私」
「買うの禁止ね。自分で何か作ったのを交換しよ」
約束ね!と言って、まっちゃんは走り去ってしまった。買わないもので、プレゼント。一体何を用意すればいいんだろうか。でも、ちょっとわくわくする自分がいた。
それから一週間。まっちゃんの好きなものや自分にできることを色々考えた。まっちゃんはかわいいものが好き。ヘアゴムもかわいいのをいっぱい持っている。だから、私が何かあげるまでもないだろう。じゃあ何なら喜んでくれるだろうか。
考え事をしながら、下を向いて歩いていると、もみの木の葉っぱに当たった。大きなもみの木を見上げる。私にできること。思いついたことがあった。でも、こんなもので喜んでもらえるだろうか。弱気を振り切って、家に駆けていった。
クリスマス当日。
まっちゃんを私の家に呼んだ。初めて友だちを自分の家に呼んだ。お父さんの邪魔になるといけないと思っていたから。家の前で、まっちゃんが立ち止まる。
「わぁ……!」
きらめく電飾。折り紙で作られたオーナメントが大きなもみの木に吊るされている。自慢じゃないけど、この近所では一番大きなクリスマスツリーになったと思う。
「すごいね! これがひーちゃんのプレゼント?」
「ううん、これもだけど、それだけじゃないの」
まっちゃんに差し出したのは、小さなクリスマスツリー。松ぼっくりを緑に塗って、ビーズで飾りつけした、私の手作りだ。
「かわいい!」
「これなら毎年使えるでしょ」
「うん!」
まっちゃんは喜んでもみの木と松ぼっくりをいっしょに並べて写真を撮った。
「私からはね、これ」
お母さんに教えてもらったんだ、と渡されたのは、私が好きな紺とまっちゃんが好きなピンクで作られたマフラーだった。
「私とおそろい!」
たしかに、まっちゃんが首に巻いているものと同じものだ。少し不格好だけれど、とてもあたたかい。
「あとねぇ、ケーキも焼いてきたんだ」
「器用だね」
「お母さんにいっぱい手伝ってもらったけど、私だって一生懸命お手伝いしたんだよ!」
嬉しそうなまっちゃんを見て、私も嬉しさがこみ上げる。お父さんに買ってもらった新しいお皿で、ケーキを食べよう。
誕生日とかクリスマスとか関係ない。誰かと過ごせる。それだけが嬉しい。
