映画 ナイトフラワー感想※ネタバレ
公開 2025/12/07 14:46
最終更新
2025/12/07 14:56
こんにちは、のずです
だいぶ長いこと放置してしまって申し訳ないです。と、いつもの謝罪から入るわけですがそもそもが体調を崩してしまっていたため来年度の企画展に提出する絵すら進んでません
そんな中、ずっと見たかったナイトフラワーを先日見てきました
こちらの作品はミッドナイトスワンやマッチングを手がけた内田監督の作品ですね
私はSnowManの佐久間大介さんを推してることもあって、マッチングを拝見させて頂きとても面白かったのでナイトフラワーも情報解禁時から楽しみに待っていました
そしてやっと見ることが出来た今、軽くストーリーを説明しつつ私の感想や考察も交えながら振り返っていきたいと思います
盛大にネタバレ、というかストーリーを書いてますのでこれからご覧になられる方はスクロールされませんように
物語の主人公は北川景子さん演じる二児を育てるシングルマザーの夏希
夏希は前夫が作った借金を背負いつつ幼い二人を守ってるんですが、まずここで考察を一つ
お子さんは女の子(小春ちゃん)と弟(小太郎くん)、この小春ちゃんはバイオリンが弾けます。というか、貧困で関西から都内へと移り住んだ今もバイオリンを習ってるんです。この時点で浮かぶ疑問が、二人が生まれた頃(もしくは小春ちゃんが生まれて習い事できる年齢まで)には裕福な暮らしだった?というものです。そう考えるなら元夫という作中には出ないこの方、事業に失敗したとかだったのかなと推測。
少し話が逸れましたね、元に戻します。
夏希の元には日々督促状が届き、その返済にと昼は地球儀を作る工場夜はスナックで働いてる。夜のスナック、本編はこのシーンから始まります。仕事を終え帰ろうとする夏希にお店のママが客から貰ったのがナイトフラワー(月下美人)、夏希は持って帰りベランダに置きます。
工場とスナック、自宅の往復をする中でたまたま遭遇した薬物の受け渡し現場。売人が襲撃され倒れ手元には薬が落下します。夏希はそれを拾って帰ります。その時廃棄になっていた餃子弁当と一緒に。
この弁当は翌日の家族のご飯となったんですが、まずここで出てきましたね。餃子のシーン。
それまでにこんなエピソードが出てきます。それは前日のこと、餃子を食べたいとい駄々をこねる小太郎くん、しかしそんなお金はどこにもなく泣き喚く我が子に夏希も泣き喚くあのCMにもなってるシーン
子が食べたがってる餃子すら買ってあげられない自分、時間の限り働いても一向に変わらない現状、全てが悔しくて悲しくて…どうしようもない中廃棄されたお弁当を持ち帰り食べさせる母の心境を思うと辛いですよね。餃子を食べるシーンで泣く、これでした。
ただ、私はこのシーンを見ながら別のことを考えたりもしてました。私も貧困の中で育ったので、満足に食べていたのかと言われると酷い時はおかず漬物もしくは塩で食べたりしててそんな自分と母のことが過ぎってしまったり。
次の登場人物は多摩恵です。多摩恵はそこまでの生い立ちについてはあまり触れられるシーンがなく多摩恵の幼なじみである海の口から語られた「親がいなくなって、その後に多摩恵の親も消えて…」みたいなセリフでほんの少しだけ垣間見える程度ですが彼女は地下の金網が張られてるような格闘技場で試合をしながらいつか表の華々しいホールで試合できることを夢見ている一方で生活の為(ジムへの月謝のため)デリ勤務もしているという表裏二面性のある人物。そんな多摩恵と共に生きてきたのが海で、彼はこのデリのボーイをしながら傍で多摩恵を見守っているような存在。
そして、サトウですよね。サトウはこの辺の元締めのような立場でこの段階では直接的な繋がりはありません。ですがここから複雑に四人は絡んでいくんですよね。
きっかけは夏希が拾った薬MDMA、これを売れば金になるかもしれないと考えた夏希は見よう見まねで客を探し売りつけます。一万円で売れた薬を何度も売りさばくうち、勝手に商売してることがサトウの部下にばれてしまい殴られます。起き上がれない夏希を助けたのが多摩恵。ここでまず一つ、線が結びつきます。夏希を家まで運び介抱した後、多摩恵は商売するなら守ってやる代わりに取り分を要求し二人は売人になってしまいます。
薬を売るためには仕入れなければならない、そこで多摩恵は海を頼ります。海の知り合いに売人がいるからですね。
海を紹介者とし二人はサトウの元にいきます。
一方時を同じくして出てくるのが夏希達とは正反対に金は腐るほどあるのに愛に冷めきったひとつの家庭。奇しくもこのご家庭の娘である子が二人の顧客であることがこのあとの展開に深く関わってきます。
はい、ここまでがおおよその人間関係とかになりますが…複雑さは無いですね。分かりやすいです。
この作品は愛が根底にあると思うんですが、夏希の子供たちを思う愛、多摩恵のこの家族を守りたいという愛、海の多摩恵を思う愛、そしてサトウ…彼は母のことをよく口にしていました。母への気持ちが強い、母に愛されたかった母を愛したかった人なのかなという予測ですがこちらも愛。更には愛を全く感じたことがないであろうサトウの部下の口から出る言葉。
どれもが愛なんですけど、それぞれの思いが見え隠れして切なくなりました。母親の無償の愛っていうのはもちろんなんですけど、小春ちゃんからの愛もすごいんです。小春ちゃんはとても聡明な子のようで、多分母が何をしているのかしていたのか察してたと思います。そして常に貧困であることもわかった上でそういうのを微塵も感じさせず母を支えてました。先にも書いたようにバイオリンを習ってるんですが、夏希は無料だと思ってたけど実は月謝があり…それを払っていたのは小春ちゃんでした。路上で演奏し、得たお金を月謝にあてがってて…私はここでグッときてしまいました。とても強い子、なんて優しいのだろうと思うともう。
多摩恵は最初こそ、稼ぎになればいいやだったんだと思いますが夏希達が迎えてくれた家族という空間にいつのまにか大切という気持ちが芽生えていましたね。恐らく家族の温もりを知らずに育った多摩恵が初めて感じる温もりがこれだったんだなと。そして海です。海が多摩恵に与えたかったものが、多摩恵が夏希達に感じてるそれだったんだと思ってます。海は多摩恵に対しては恋愛とか身内とかそんなものは超越したところ、自分の分身とか生き別れた片割れぐらいの感情があったと私は考えていてだからこそ多摩恵をなんとかアングラから救いあげて陽の光の中で当たり前の家庭と幸せをと願ってやまなかったんだろうなって。更には多摩恵の境遇に己を重ねて見てた部分もあるのかなと、だから多摩恵を幸せにすることが自分の幸せとも考えていたんじゃないかな。
海についてはこのあとも掘り下げたいと考えているので、とりあえず話進めようと思います。
売人として再スタートした二人は生活水準も上がり順風満帆に、といくわけもなく事件は起きます。小太郎くんが保育園で他の子を怪我させてしまい後遺症が残るかもしれないとのこと。夏希は駆けつけ謝罪し相手方も強く責めることはなかったものの後遺症が残るということは今後何十年補償していく可能性があるということですよね。
絶望の中で夏希が選んだのは売りさばく量をふやすという選択肢で、これに関して海は止めます。これ以上はやばいと。海は本当は夏希から多摩恵を引き離したかったんですよね。危険しかないから。だから止めようとするんですけど、多摩恵はこの時海を振り切り二人で行ってしまいます。多摩恵は自分が最強だとこの時点では思ってそうにも感じました。だから言われなくても自分が守れる、と。ちなみにこれが記者会見などでも話に出てた屋上のシーンなわけですが、残された海の表情…色んなものが詰まってました。今が危ないと分かっていながら本気でとめきれなかったことへの後悔、でも二人が今幸せそうにしているのに止めるべきなのかという迷い、あとは…本当なら守る立場にいたかったのは自分なのにというやるせなさと夏希への嫉妬、私はそういうのを感じました。
ストーリーは海の心配通り良くない方へ。
売り分を増やしたことで及ぶ危険とは別に、反対側で進むもう一個の家族。上記した裕福だけど相内ご家庭のことです。夫は医師、娘もいて何不自由なく暮らしているのですが夫は家庭なんて顧みない人で娘は家に帰らない日が続きます。娘を案じて元刑事だという探偵(なのかな)を雇い動向を探ってもらう中で娘が良くない子達とつるんでいることや薬物を使用していること、そして薬を売っているのが夏希達であることを知ります。
この娘さんが車にはねられ亡くなったことが引き金となり、まず警察が薬について捜査を本格化させることになる。子を亡くした母は探偵にあるものを依頼し受け取る。
サトウは足がつかないように売人を切り離すかどうするか、話は多方向に向かい始めます。そんなことを知らない夏希と多摩恵、海は知ってますねこの時点で(これは私の推測)
そんな時に多摩恵の試合が決まります。これは地下のあれではなく勝てば一気に名前をあげられるようなもので多摩恵にとってはまたとないチャンスです。
そのことを多摩恵から聞いて喜ぶ海(ここがラーメンのシーンです)、試合当日は夏希達家族と海もそれぞれ応援に駆けつけるんですが…善戦虚しくたまえは負けてしまいます。いつもは強気で泣き言ひとつ言わない多摩恵がリングで流す涙にどれだけ本気で挑んだのかがわかり胸が締め付けられました。震える多摩恵に寄り添い抱きしめていたのは夏希で、海は静かに会場を去るんですがその時の表情、今でもはっきり覚えてます。海はこの時まではまだ、自分が多摩恵を幸せにするってずっと心に秘めつつ生きてきたんだと思うんです。話の途中、海が多摩恵に言った「お前のことが大切なんだ」というセリフ。この瞬間まで持ってたんだろうなって。でもその役目が自分ではなかったことを寄り添う夏希を見て悟ったのかな。それなら自分に出来ることで多摩恵を守ろうとサトウの元に行ったと私は考えてます(本編にはそんなシーンはなく、海は会場を出ていくだけです)
ボコボコにされた海、自分の身と引き換えに二人の安全を願ったのかな。口に溜まった血を零しながらの演技、声のよくよう、微かにあがった口角、私がそこから感じたのは己の非力さを嘆くも覆らない事実からくる絶望。セリフ…ずんときましたね。海はどうなったの?と同担様がよく嘆いておられるのを見ますが、ここまで書いたのが私の海に対する考察なので私はバラされてると思います。
一方夏希達は旅行に行きたいねと現状を勘づいているのかはわからないけど荷造りをしていて、この対比の残酷さもですがこの時多摩恵の元にはサトウ達がいるんですよね。サトウは多摩恵に三つの選択肢を出し、答えによっては助けると告げてるんですがこの三つに関してはまだ考察してません。と言うか、できてないです。あと何回か見る、もしくは小説版を読むなりしないと一度見ただけでは薄っぺらい三択しか浮かばなくてですね。
場面は夏希達に戻ります。彼女の住む団地の前に現れたのは娘を失ったあの母親です。そこに通りかかったのが小春ちゃんで、大丈夫ですか?と声をかけるんですが、母親がカバンに隠し持っていたのは探偵に依頼して手に入れた拳銃。それをゆっくり取り出して小春ちゃんに向け鳴り響く銃声、それを室内で聞いていたのが夏希と小太郎くんで運動会かな?なんて言ってたところにチャイムが鳴ります。玄関に駆け出す小太郎くんとダメ!と叫ぶ夏希。開いたドアから入ってきたのは多摩恵と小春ちゃんで、いつも通りの光景と笑顔。
なんですが、この時背景は昼間なんですね。そこにある違和感。月下美人が咲いてるんですよ。月下美人は夜に一度だけ花を咲かせるんです。夏希がよく、ママのために一度だけ咲いてくれると作中で言っていました。その花が開いてるんです。真昼に。月下美人の花言葉にある「ただ一度だけ会いたくて」
物語はここで終わります。
これが、見る手にラストを委ねると言われる終わり方なのですが私は好きです。マッチングの時もそうですが、ラスト五分見せた吐夢の真の顔が物語の終わりではなく始まりを予見させていて映画の二時間はプロローグだったのか…!とハッとしたんですよね。
ナイトフラワーは逆に先を見るのが難しいラストだなと思いました。考察を続けられるという点で物語は永遠なのですけど、ここまで見てきたものを総合した場合にその先にあるのは光なのかと言われると難しい。ここに光を見出すなら、海の命懸けの懇願が通り当初そのまま始末されてしまう可能性があった多摩恵に三択が生まれ多摩恵が生還。子の敵取りに来た母親から小春ちゃんを守り響いた銃声は母親が自害した音だった、とかでしょうか。
それならば海がこれまで生きてきた全てをかけて多摩恵を救えたことになるし、このあと四人は楽園という名の旅行に行く(=飛ぶ)って感じのビターハッピーエンドになるかなと。
普通に考えるとまあないですけどね。
正当に考えるなら、開けたドアから入ってきたのは拳銃を持った母親、撃たれた夏希に月下美人が見せたのがもう一度会いたいと願った光景だった。ですよね多分。
二時間あっという間でした。まず演者の皆様が本当に素晴らしくて、全てがリアルであり現実の一部分を覗き見てるぐらいに入り込むことが出来ました。
それ故に心にずんと来る部分も多かったですが、私はリアルな方が好きなので最高でしたね。終わり方に関しても無理やりなハッピーエンドとかは響かない人間なので、あるがまま進む展開であったからこそ最高だったと思ってます。
映画が二時間で終わることなく、見たあとも永遠に続いていくかのような…そういう内田監督の生み出す作品が大好きです。
また時間があれば行きたいです。というか行きます。
素敵な作品に出会えて幸せでした。
いつもの様に長くなってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。
だいぶ長いこと放置してしまって申し訳ないです。と、いつもの謝罪から入るわけですがそもそもが体調を崩してしまっていたため来年度の企画展に提出する絵すら進んでません
そんな中、ずっと見たかったナイトフラワーを先日見てきました
こちらの作品はミッドナイトスワンやマッチングを手がけた内田監督の作品ですね
私はSnowManの佐久間大介さんを推してることもあって、マッチングを拝見させて頂きとても面白かったのでナイトフラワーも情報解禁時から楽しみに待っていました
そしてやっと見ることが出来た今、軽くストーリーを説明しつつ私の感想や考察も交えながら振り返っていきたいと思います
盛大にネタバレ、というかストーリーを書いてますのでこれからご覧になられる方はスクロールされませんように
物語の主人公は北川景子さん演じる二児を育てるシングルマザーの夏希
夏希は前夫が作った借金を背負いつつ幼い二人を守ってるんですが、まずここで考察を一つ
お子さんは女の子(小春ちゃん)と弟(小太郎くん)、この小春ちゃんはバイオリンが弾けます。というか、貧困で関西から都内へと移り住んだ今もバイオリンを習ってるんです。この時点で浮かぶ疑問が、二人が生まれた頃(もしくは小春ちゃんが生まれて習い事できる年齢まで)には裕福な暮らしだった?というものです。そう考えるなら元夫という作中には出ないこの方、事業に失敗したとかだったのかなと推測。
少し話が逸れましたね、元に戻します。
夏希の元には日々督促状が届き、その返済にと昼は地球儀を作る工場夜はスナックで働いてる。夜のスナック、本編はこのシーンから始まります。仕事を終え帰ろうとする夏希にお店のママが客から貰ったのがナイトフラワー(月下美人)、夏希は持って帰りベランダに置きます。
工場とスナック、自宅の往復をする中でたまたま遭遇した薬物の受け渡し現場。売人が襲撃され倒れ手元には薬が落下します。夏希はそれを拾って帰ります。その時廃棄になっていた餃子弁当と一緒に。
この弁当は翌日の家族のご飯となったんですが、まずここで出てきましたね。餃子のシーン。
それまでにこんなエピソードが出てきます。それは前日のこと、餃子を食べたいとい駄々をこねる小太郎くん、しかしそんなお金はどこにもなく泣き喚く我が子に夏希も泣き喚くあのCMにもなってるシーン
子が食べたがってる餃子すら買ってあげられない自分、時間の限り働いても一向に変わらない現状、全てが悔しくて悲しくて…どうしようもない中廃棄されたお弁当を持ち帰り食べさせる母の心境を思うと辛いですよね。餃子を食べるシーンで泣く、これでした。
ただ、私はこのシーンを見ながら別のことを考えたりもしてました。私も貧困の中で育ったので、満足に食べていたのかと言われると酷い時はおかず漬物もしくは塩で食べたりしててそんな自分と母のことが過ぎってしまったり。
次の登場人物は多摩恵です。多摩恵はそこまでの生い立ちについてはあまり触れられるシーンがなく多摩恵の幼なじみである海の口から語られた「親がいなくなって、その後に多摩恵の親も消えて…」みたいなセリフでほんの少しだけ垣間見える程度ですが彼女は地下の金網が張られてるような格闘技場で試合をしながらいつか表の華々しいホールで試合できることを夢見ている一方で生活の為(ジムへの月謝のため)デリ勤務もしているという表裏二面性のある人物。そんな多摩恵と共に生きてきたのが海で、彼はこのデリのボーイをしながら傍で多摩恵を見守っているような存在。
そして、サトウですよね。サトウはこの辺の元締めのような立場でこの段階では直接的な繋がりはありません。ですがここから複雑に四人は絡んでいくんですよね。
きっかけは夏希が拾った薬MDMA、これを売れば金になるかもしれないと考えた夏希は見よう見まねで客を探し売りつけます。一万円で売れた薬を何度も売りさばくうち、勝手に商売してることがサトウの部下にばれてしまい殴られます。起き上がれない夏希を助けたのが多摩恵。ここでまず一つ、線が結びつきます。夏希を家まで運び介抱した後、多摩恵は商売するなら守ってやる代わりに取り分を要求し二人は売人になってしまいます。
薬を売るためには仕入れなければならない、そこで多摩恵は海を頼ります。海の知り合いに売人がいるからですね。
海を紹介者とし二人はサトウの元にいきます。
一方時を同じくして出てくるのが夏希達とは正反対に金は腐るほどあるのに愛に冷めきったひとつの家庭。奇しくもこのご家庭の娘である子が二人の顧客であることがこのあとの展開に深く関わってきます。
はい、ここまでがおおよその人間関係とかになりますが…複雑さは無いですね。分かりやすいです。
この作品は愛が根底にあると思うんですが、夏希の子供たちを思う愛、多摩恵のこの家族を守りたいという愛、海の多摩恵を思う愛、そしてサトウ…彼は母のことをよく口にしていました。母への気持ちが強い、母に愛されたかった母を愛したかった人なのかなという予測ですがこちらも愛。更には愛を全く感じたことがないであろうサトウの部下の口から出る言葉。
どれもが愛なんですけど、それぞれの思いが見え隠れして切なくなりました。母親の無償の愛っていうのはもちろんなんですけど、小春ちゃんからの愛もすごいんです。小春ちゃんはとても聡明な子のようで、多分母が何をしているのかしていたのか察してたと思います。そして常に貧困であることもわかった上でそういうのを微塵も感じさせず母を支えてました。先にも書いたようにバイオリンを習ってるんですが、夏希は無料だと思ってたけど実は月謝があり…それを払っていたのは小春ちゃんでした。路上で演奏し、得たお金を月謝にあてがってて…私はここでグッときてしまいました。とても強い子、なんて優しいのだろうと思うともう。
多摩恵は最初こそ、稼ぎになればいいやだったんだと思いますが夏希達が迎えてくれた家族という空間にいつのまにか大切という気持ちが芽生えていましたね。恐らく家族の温もりを知らずに育った多摩恵が初めて感じる温もりがこれだったんだなと。そして海です。海が多摩恵に与えたかったものが、多摩恵が夏希達に感じてるそれだったんだと思ってます。海は多摩恵に対しては恋愛とか身内とかそんなものは超越したところ、自分の分身とか生き別れた片割れぐらいの感情があったと私は考えていてだからこそ多摩恵をなんとかアングラから救いあげて陽の光の中で当たり前の家庭と幸せをと願ってやまなかったんだろうなって。更には多摩恵の境遇に己を重ねて見てた部分もあるのかなと、だから多摩恵を幸せにすることが自分の幸せとも考えていたんじゃないかな。
海についてはこのあとも掘り下げたいと考えているので、とりあえず話進めようと思います。
売人として再スタートした二人は生活水準も上がり順風満帆に、といくわけもなく事件は起きます。小太郎くんが保育園で他の子を怪我させてしまい後遺症が残るかもしれないとのこと。夏希は駆けつけ謝罪し相手方も強く責めることはなかったものの後遺症が残るということは今後何十年補償していく可能性があるということですよね。
絶望の中で夏希が選んだのは売りさばく量をふやすという選択肢で、これに関して海は止めます。これ以上はやばいと。海は本当は夏希から多摩恵を引き離したかったんですよね。危険しかないから。だから止めようとするんですけど、多摩恵はこの時海を振り切り二人で行ってしまいます。多摩恵は自分が最強だとこの時点では思ってそうにも感じました。だから言われなくても自分が守れる、と。ちなみにこれが記者会見などでも話に出てた屋上のシーンなわけですが、残された海の表情…色んなものが詰まってました。今が危ないと分かっていながら本気でとめきれなかったことへの後悔、でも二人が今幸せそうにしているのに止めるべきなのかという迷い、あとは…本当なら守る立場にいたかったのは自分なのにというやるせなさと夏希への嫉妬、私はそういうのを感じました。
ストーリーは海の心配通り良くない方へ。
売り分を増やしたことで及ぶ危険とは別に、反対側で進むもう一個の家族。上記した裕福だけど相内ご家庭のことです。夫は医師、娘もいて何不自由なく暮らしているのですが夫は家庭なんて顧みない人で娘は家に帰らない日が続きます。娘を案じて元刑事だという探偵(なのかな)を雇い動向を探ってもらう中で娘が良くない子達とつるんでいることや薬物を使用していること、そして薬を売っているのが夏希達であることを知ります。
この娘さんが車にはねられ亡くなったことが引き金となり、まず警察が薬について捜査を本格化させることになる。子を亡くした母は探偵にあるものを依頼し受け取る。
サトウは足がつかないように売人を切り離すかどうするか、話は多方向に向かい始めます。そんなことを知らない夏希と多摩恵、海は知ってますねこの時点で(これは私の推測)
そんな時に多摩恵の試合が決まります。これは地下のあれではなく勝てば一気に名前をあげられるようなもので多摩恵にとってはまたとないチャンスです。
そのことを多摩恵から聞いて喜ぶ海(ここがラーメンのシーンです)、試合当日は夏希達家族と海もそれぞれ応援に駆けつけるんですが…善戦虚しくたまえは負けてしまいます。いつもは強気で泣き言ひとつ言わない多摩恵がリングで流す涙にどれだけ本気で挑んだのかがわかり胸が締め付けられました。震える多摩恵に寄り添い抱きしめていたのは夏希で、海は静かに会場を去るんですがその時の表情、今でもはっきり覚えてます。海はこの時まではまだ、自分が多摩恵を幸せにするってずっと心に秘めつつ生きてきたんだと思うんです。話の途中、海が多摩恵に言った「お前のことが大切なんだ」というセリフ。この瞬間まで持ってたんだろうなって。でもその役目が自分ではなかったことを寄り添う夏希を見て悟ったのかな。それなら自分に出来ることで多摩恵を守ろうとサトウの元に行ったと私は考えてます(本編にはそんなシーンはなく、海は会場を出ていくだけです)
ボコボコにされた海、自分の身と引き換えに二人の安全を願ったのかな。口に溜まった血を零しながらの演技、声のよくよう、微かにあがった口角、私がそこから感じたのは己の非力さを嘆くも覆らない事実からくる絶望。セリフ…ずんときましたね。海はどうなったの?と同担様がよく嘆いておられるのを見ますが、ここまで書いたのが私の海に対する考察なので私はバラされてると思います。
一方夏希達は旅行に行きたいねと現状を勘づいているのかはわからないけど荷造りをしていて、この対比の残酷さもですがこの時多摩恵の元にはサトウ達がいるんですよね。サトウは多摩恵に三つの選択肢を出し、答えによっては助けると告げてるんですがこの三つに関してはまだ考察してません。と言うか、できてないです。あと何回か見る、もしくは小説版を読むなりしないと一度見ただけでは薄っぺらい三択しか浮かばなくてですね。
場面は夏希達に戻ります。彼女の住む団地の前に現れたのは娘を失ったあの母親です。そこに通りかかったのが小春ちゃんで、大丈夫ですか?と声をかけるんですが、母親がカバンに隠し持っていたのは探偵に依頼して手に入れた拳銃。それをゆっくり取り出して小春ちゃんに向け鳴り響く銃声、それを室内で聞いていたのが夏希と小太郎くんで運動会かな?なんて言ってたところにチャイムが鳴ります。玄関に駆け出す小太郎くんとダメ!と叫ぶ夏希。開いたドアから入ってきたのは多摩恵と小春ちゃんで、いつも通りの光景と笑顔。
なんですが、この時背景は昼間なんですね。そこにある違和感。月下美人が咲いてるんですよ。月下美人は夜に一度だけ花を咲かせるんです。夏希がよく、ママのために一度だけ咲いてくれると作中で言っていました。その花が開いてるんです。真昼に。月下美人の花言葉にある「ただ一度だけ会いたくて」
物語はここで終わります。
これが、見る手にラストを委ねると言われる終わり方なのですが私は好きです。マッチングの時もそうですが、ラスト五分見せた吐夢の真の顔が物語の終わりではなく始まりを予見させていて映画の二時間はプロローグだったのか…!とハッとしたんですよね。
ナイトフラワーは逆に先を見るのが難しいラストだなと思いました。考察を続けられるという点で物語は永遠なのですけど、ここまで見てきたものを総合した場合にその先にあるのは光なのかと言われると難しい。ここに光を見出すなら、海の命懸けの懇願が通り当初そのまま始末されてしまう可能性があった多摩恵に三択が生まれ多摩恵が生還。子の敵取りに来た母親から小春ちゃんを守り響いた銃声は母親が自害した音だった、とかでしょうか。
それならば海がこれまで生きてきた全てをかけて多摩恵を救えたことになるし、このあと四人は楽園という名の旅行に行く(=飛ぶ)って感じのビターハッピーエンドになるかなと。
普通に考えるとまあないですけどね。
正当に考えるなら、開けたドアから入ってきたのは拳銃を持った母親、撃たれた夏希に月下美人が見せたのがもう一度会いたいと願った光景だった。ですよね多分。
二時間あっという間でした。まず演者の皆様が本当に素晴らしくて、全てがリアルであり現実の一部分を覗き見てるぐらいに入り込むことが出来ました。
それ故に心にずんと来る部分も多かったですが、私はリアルな方が好きなので最高でしたね。終わり方に関しても無理やりなハッピーエンドとかは響かない人間なので、あるがまま進む展開であったからこそ最高だったと思ってます。
映画が二時間で終わることなく、見たあとも永遠に続いていくかのような…そういう内田監督の生み出す作品が大好きです。
また時間があれば行きたいです。というか行きます。
素敵な作品に出会えて幸せでした。
いつもの様に長くなってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。
本を好物、養分としてるその辺の藻屑です。れっきとした腐女子。二次元に飛び込んだきっかけはCLAMP先生の聖伝に出会ったから
NGや地雷等無しエログロも読みます
ハピエンよりはバドエン、メリバを好みます
ここでは好きな本やアニメ、映画、ドラマなどの感想を書きます
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