自作小説。異世界で始めるゲーマー生活No.21【評議会の憂鬱】
公開 2024/06/22 21:59
最終更新
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「ふりかけさん。リリィのところの鳥から第23再生エネルギー自治区の報告が上がっています。やっぱり、滅亡しました。」
リザードマンのウルシが部屋に入ってきて俺に言った。俺は次の定例評議会の準備で忙しかった。
評議会。このぶらっくうっどには政府というものがない。文明の隆起の初期段階の際に、異世界転生者達が口を揃えて政府を作らないとしたからだ。政府を作るということは行政を作るということであり、もっと言えば税金を取るということ。意味のない行政を作り、手あたり次第に税金を取るようになるのは明白であるというのが理由だった。最初こそ真っ当な人でも、政治に染まると金儲けに走るとも言っていた。また、モンスターも人間もいるこの世界においては、政府を作ること自体が争いの火種であり、政府が増えればワールドウォーにも発展する。そのため、政府という枠組みではなく、モンスター100名、人間100名の評議会という統一したものを作ることにした。
また、評議会は立候補する選挙制ではなく、文明に多大な貢献をした人を評議会がピックアップ。その中から立候補するという推薦式となっている。かつては選挙制だったが、頭のおかしい人ほど数字を持つ。世界を破滅に導くような人間に票が集中し、評議会転覆を目論む人もいた。「モンスターに囚われない人間だけの社会」を作ろうとする人も多かった。
普通に人気ならば良かったが、票の集め方はまさに洗脳であり、詐欺だった。選挙制ではとにかく票を集めれば良いので、売春、恐喝、詐欺、ありとあらゆる犯罪に手を染めている人もいた。ルールで縛っていても、やらかす人は多く、驚くほど票が集まった。テレビでもプロパガンダを行い、その票はますます増えていった。
まぁ、そんなこと、許されるはずがない。公安委員会全員で魔法を使って一斉検挙し、選挙制から推薦式に変えた。テレビによるプロパガンダも「テレビ放送の規制」という形でなくした。魔法は便利なもので、先に答えを知ってからの調査はかなり楽だった。証拠の場所もわかっているしな。
「やっぱりか・・・。人間って懲りないな。再生エネルギー自治区なんて20年ごとに発生するじゃぁないか。」
自治区。ぶらっくうっどの外に作られた地域のこと。主にぶらっくうっどになじめなかった人達が、自分たちの国を作ろうということで作った自治区のこと。稀に追放者達の国という自治区も存在する。
自治区にはいくつも種類があり、エネルギー再生自治区はその一つだ。地球環境を守ろうという一派が掲げる「エネルギーは再生エネルギーだけ」という自治区だ。最近ではカーボンニュートラルも入ってきているらしい。わかりやすい話としては、原発や火力発電、魔力発電は使わないというもの。エネルギー抽出には、水力、風力、太陽光発電などを使う。
自治区のすべては滅亡している。ぶらっくうっど自体が過酷な世界というのもあるが、ぶらっくうっどの外では大抵の生物が長くは生きられない。我々が想像もつかないような意思が働いているかのように、すべての自治区、どんな自治区であれ滅亡している。
ウルシから渡された報告書を読む。まーた、エネルギー不足での滅亡だ。夏場の50度という気温により全部の機械が壊れ、大多数が熱中症による死。生き残っても冬に凍え死ぬ。暖房器具に燃料を使うものは一切ないので、ぶらっくっどの極寒は耐えられなかった。これで23回目だ。
「・・・・・やっぱり、太陽光発電の耐熱性を上げるのが重要になるなぁ。耐寒性はなんとかなっているんだが・・・。」
「確かに、現在の耐熱は35度までいきましたが、ぶらっくっどでは50度になる日もあります。15度も違えば機械が壊れるのも当然かと。」
「魔法による保護も考えたが、その分料金がかさんでしまう。MPは休まないと回復しない。無限のMPを持つやつなんて、モンスターにも人間にもいない。」
自治区を作るのは人間だ。人間はモンスター以上に色々知っており、感情も千差万別。馬鹿もいれば賢者もいる。それは肌の色が違っても同じ。生前の国によって考え方に違いが出る。そんな人間達をぶらっくうっどに住まわせるために考えるのは、選出された評議会の仕事。ユートピアでありディストピア。評議会に管理されているぶらっくうっどは、快適な社会でなければいけない。誰もが住めるような、ね。
「ナルさんに太陽光発電の基盤の耐熱性を上げる研究をするように頼んでくれ。」
「御意。」
ウルシは俺に敬礼をして部屋を出た。
ナルさんってのは鳴神電気株式会社の代表取締役で、評議会の一人だ。名前はキラキラネームというもので、そのまま表記するのは危険すぎる。俺の名前はふりかけだが、正直ちょっと変なだけの普通の名前だ。ナルさんはフルネーム込みでいじめられるくらいにはひどいキラキラネームだ。異世界転生後に本気を出し、数多くのエネルギー生産技術を生み出した。ヨーグルトみたいに素材を筒に入れて振ると電気が生まれるとかいう変な技術も作っていた。目下、使いどころを検討中だ。
異世界転生者。ぶらっくうっどの外の世界からやってきた人間のこと。彼ら彼女らは、元の世界の知識をいかんなく披露し、この世界に文明を隆起させた。異世界転生者はこれからも増えていくだろう。人間が死ぬ以上、次なる世界が待っているのだとしたら・・・。そうなると、これからも文明は変わっていくのだろう。
リザードマンのウルシが部屋に入ってきて俺に言った。俺は次の定例評議会の準備で忙しかった。
評議会。このぶらっくうっどには政府というものがない。文明の隆起の初期段階の際に、異世界転生者達が口を揃えて政府を作らないとしたからだ。政府を作るということは行政を作るということであり、もっと言えば税金を取るということ。意味のない行政を作り、手あたり次第に税金を取るようになるのは明白であるというのが理由だった。最初こそ真っ当な人でも、政治に染まると金儲けに走るとも言っていた。また、モンスターも人間もいるこの世界においては、政府を作ること自体が争いの火種であり、政府が増えればワールドウォーにも発展する。そのため、政府という枠組みではなく、モンスター100名、人間100名の評議会という統一したものを作ることにした。
また、評議会は立候補する選挙制ではなく、文明に多大な貢献をした人を評議会がピックアップ。その中から立候補するという推薦式となっている。かつては選挙制だったが、頭のおかしい人ほど数字を持つ。世界を破滅に導くような人間に票が集中し、評議会転覆を目論む人もいた。「モンスターに囚われない人間だけの社会」を作ろうとする人も多かった。
普通に人気ならば良かったが、票の集め方はまさに洗脳であり、詐欺だった。選挙制ではとにかく票を集めれば良いので、売春、恐喝、詐欺、ありとあらゆる犯罪に手を染めている人もいた。ルールで縛っていても、やらかす人は多く、驚くほど票が集まった。テレビでもプロパガンダを行い、その票はますます増えていった。
まぁ、そんなこと、許されるはずがない。公安委員会全員で魔法を使って一斉検挙し、選挙制から推薦式に変えた。テレビによるプロパガンダも「テレビ放送の規制」という形でなくした。魔法は便利なもので、先に答えを知ってからの調査はかなり楽だった。証拠の場所もわかっているしな。
「やっぱりか・・・。人間って懲りないな。再生エネルギー自治区なんて20年ごとに発生するじゃぁないか。」
自治区。ぶらっくうっどの外に作られた地域のこと。主にぶらっくうっどになじめなかった人達が、自分たちの国を作ろうということで作った自治区のこと。稀に追放者達の国という自治区も存在する。
自治区にはいくつも種類があり、エネルギー再生自治区はその一つだ。地球環境を守ろうという一派が掲げる「エネルギーは再生エネルギーだけ」という自治区だ。最近ではカーボンニュートラルも入ってきているらしい。わかりやすい話としては、原発や火力発電、魔力発電は使わないというもの。エネルギー抽出には、水力、風力、太陽光発電などを使う。
自治区のすべては滅亡している。ぶらっくうっど自体が過酷な世界というのもあるが、ぶらっくうっどの外では大抵の生物が長くは生きられない。我々が想像もつかないような意思が働いているかのように、すべての自治区、どんな自治区であれ滅亡している。
ウルシから渡された報告書を読む。まーた、エネルギー不足での滅亡だ。夏場の50度という気温により全部の機械が壊れ、大多数が熱中症による死。生き残っても冬に凍え死ぬ。暖房器具に燃料を使うものは一切ないので、ぶらっくっどの極寒は耐えられなかった。これで23回目だ。
「・・・・・やっぱり、太陽光発電の耐熱性を上げるのが重要になるなぁ。耐寒性はなんとかなっているんだが・・・。」
「確かに、現在の耐熱は35度までいきましたが、ぶらっくっどでは50度になる日もあります。15度も違えば機械が壊れるのも当然かと。」
「魔法による保護も考えたが、その分料金がかさんでしまう。MPは休まないと回復しない。無限のMPを持つやつなんて、モンスターにも人間にもいない。」
自治区を作るのは人間だ。人間はモンスター以上に色々知っており、感情も千差万別。馬鹿もいれば賢者もいる。それは肌の色が違っても同じ。生前の国によって考え方に違いが出る。そんな人間達をぶらっくうっどに住まわせるために考えるのは、選出された評議会の仕事。ユートピアでありディストピア。評議会に管理されているぶらっくうっどは、快適な社会でなければいけない。誰もが住めるような、ね。
「ナルさんに太陽光発電の基盤の耐熱性を上げる研究をするように頼んでくれ。」
「御意。」
ウルシは俺に敬礼をして部屋を出た。
ナルさんってのは鳴神電気株式会社の代表取締役で、評議会の一人だ。名前はキラキラネームというもので、そのまま表記するのは危険すぎる。俺の名前はふりかけだが、正直ちょっと変なだけの普通の名前だ。ナルさんはフルネーム込みでいじめられるくらいにはひどいキラキラネームだ。異世界転生後に本気を出し、数多くのエネルギー生産技術を生み出した。ヨーグルトみたいに素材を筒に入れて振ると電気が生まれるとかいう変な技術も作っていた。目下、使いどころを検討中だ。
異世界転生者。ぶらっくうっどの外の世界からやってきた人間のこと。彼ら彼女らは、元の世界の知識をいかんなく披露し、この世界に文明を隆起させた。異世界転生者はこれからも増えていくだろう。人間が死ぬ以上、次なる世界が待っているのだとしたら・・・。そうなると、これからも文明は変わっていくのだろう。
すべての始まり、正米は3DCGのRPGツクールという20年以上前のゲームから生まれた。突っ込んだ話、現在の中の人。「一生ゲームをするという覚悟」のもと、「ゲームに命をかけている」ゲーマー。「ゲームに殉せず、ゲームとともにある」。
数多くのキャラクターを生み出している神霊で、このブログはゆのニートカンパ…
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