明日はKの通院日だ。
Kのしこりは｢大きくならなければ問題はない｣と言われていたが、残念なことに大きくなっている。Hにも尋ねたが｢自分も大きくなっている気がする｣と言っていた。僕たちはしこりが大きくなっていることを認めなければいけない。その結果を受けとめなくてはいけない。
明日、医師に診てもらうが仮に悪性のものだったとしてもすぐに診断がおりないことを僕は知っている。悪性と分かるまでにしこりを摘出し病理検査にだす、というプロセスが必要なことをインターネットから学んだ。
そして、この手の類のしこりが｢様子見｣にされることも、それとなく先日の医師からも聞いたし、インターネットで調べて理解した。
悪性のものかもしれないと思いながら様子を見るのはそれなりにきつい。しかし悪性と診断される（というか悪性であったとき）のほうがきつい。1番いいのはさっさと良性であると診断されることだ。ほんとうにそうあって欲しい。

エックスで小児がんについて調べたところ、タイムラインに小児がんで亡くなられたお子さんのポストばかりが表示されるようになってしまった。亡くなられた方には哀悼の意を表するし、お子さんを失ったご両親や、お子さんを知る人たちの沈痛はいかばかりかと思う。医学の発展と、ひとりでも多くの命が助かることを願う。その一方で、｢小児がん｣を調べたにんげんに対して、悲しいポストばかりを表示させてしまうエックスの仕様については疑問を持たざるを得ない。病気について検索する人の多くは自身がその病気に罹患しているか親しいひとが罹患しているかのどちらかだ。なぜそのようなひとに寛解したひとの情報を優先して表示してくらないのか。
おそらくはインプレッション数とか、広告のマネタイズとか、そういうビジネスがらみの理由なのだろう。SNSを利用してお金の流れを作ることは基本的にはいいことでは、あるだろう。それで助かる人もいる。
でもさー、そういうところだよ、エックス。
お金を動かそうと思ったら、ひとが思わず反応してしまうようなポストばかりを表示していればいいのだろう。でも心を動かそうと思ったら、流すべきポストは違うだろう。｢小児がん｣の検索者に寛解した人、寛解に導いた医療提供者のポスト、それから猫と空だ。

そんなことを書いてきたら睡眠薬が効いてきたようだ。僕の横ではKとHがすやすやと眠っている。KはH手を握ったまま眠っている。
少なくとも今日はおわる。なにごともなく。
なにごともない日をKがこの先100年くらい過ごせますように。僕はそう願う。そして目を閉じる。楽しくなくていいからエロくもグロくもなくショッキングじゃない夢を見られますように。僕の夢はまだイーロン・マスクに買収されていない。