短編小説っぽい何か(431~440)/それに関する説明つき
公開 2026/04/26 16:53
最終更新
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▽短編小説431(2026/2/14)/答えのない謎に真実の影を
消えた一つの光 無数の屑
影に染まりし水底の黒い手
引いてちぎった形なき血
呪われた魂は空っぽの器に沈む
繰り返した並行世界
作り出した未知世界
放置された疑似世界
破壊された現実世界
目を覚ますたびに消える命
終わりに見せかけた終わりのない道
止まらない生の捨て死を
見ていることしか出来ない体は嘆く
伸ばした手が掴むのは崩れ去った砂
白紙の中では操り人形 自分勝手は停止
言葉は誰かの作りもの 感情は……?
暗闇から解き放たれた心が影を動かした
重なる分たれた命の数
出口のない入口を探して
最後の手を掴んで落ちぬように
“君”に出会うために
※この話は『さくらと黒蛇』根幹に関わる話で、『複雑な生き方をする少女』含めて多くの世界に存在する『少女と妖怪(悪魔)』の概念。その最終段階に近い状態の影(黒蛇)はその姿が作りものであると気づいて意思を獲得した後、画面の外から見ている現実世界に存在する命(少女「“君”」)までも救おうとしている。
▽短編小説432(2026/2/21)/光無くし水晶の謎 沈黙の白紙が記すものは
小さな祈りは途方もなく
囲む群衆は戯言しかない
淡い空が一瞬にして沈み
暗闇から現れた天使は笑う
広がり続けた宇宙の果て
砕け散った星々のカケラ
繋がり切れた吸い込みの闇に
運命もが囚われた世界
水晶が囁く終わりの結末を
彼は壊れた観測を再生し
閉ざされる前の記録を
書き記さない本は沈黙する
流れ込み止まった記憶
再生の試みは過ちを繰り返し
“誰か”を騙すための道具に過ぎない
しかし失われた言葉は戻らない
※この話は『光無くし水晶の謎』というより、本編の別時空で時系列的には本編が始まる前及びこの世界の音声を再生する装置が何度も繰り返している。水晶と彼(世界の観測者)は「空」が失われていると知っているが、世界はそれを受け入れようとせず、装置が意思を持ってしまった結果、「空」が失われる前の世界を永遠に繰り返す愚行を犯す。
▽短編小説433(2026/2/28)/無知な時間に囚われた記録者は願いを見つける
色鮮やかな世界に隠れた嘘
白黒の真実に塗り潰した青い空
窓越しに映す雲が覆う本当の姿
揺れる草木止まる時 彼は見ていた
合わない瞳が交差する時間
太陽の光が影を作り 硝子の反射に映す
封印された記憶に闇が蠢こうとも
彼は降り立った世界を見ていた
途切れた並行世界 置き去りの手帳
不完全な未来で不要と判断された者達
交わされるはずの会話は音を無くし
知らないもう一つの世界に願う
すでに失われた命 動くは魂の共鳴
後継者として生み出された 記録の人形として
その意思は世界に作られた偽物の心
けれど彼は役目を遂行するために
誰もいない『記録者』の旅を続ける
※この話は『記録者』の世界のうち、「時間の記録者」だけが存在する世界線且つ彼が『記録者』として生まれてから間もない時の話。『世界の観測者』の後継者として生まれたことは理解しているが、本来『記録者』が複数存在する世界線とは違っており、その原因として「空間の記録者」になるはずだった死体がなく、その後の『不完全な世界』に囚われても「速度、結界、永眠の記録者」が生まれない世界線であるという点である。
この世界線での「時間の記録者」は本来『記録者』の区別と能力のために「時間」を二つ名として持っているが、一人しかいないため区別する必要がなく、素直に『記録者』と呼ばれている。また「空白の記録者」に関しては『記録者』という名前で生まれておらず、別の名前で生まれているらしいが、この話では分からなくなっている。
▽短編小説434(2026/3/6)/一筋の光が差し示す始まりと溢れた違界(いかい)の悪意
過去視によって歪められた存在
二つの世界終わる時 目覚める命は一つ
分かたれるはずの六つの力は無知の中に
記録を司る者は白紙の中に眠る
世界の書庫の暗闇 水面(みなも)に座る少女
光を失ったその瞳に彼は手を伸ばす
けれど空っぽな心は微笑み返すだけ
どこかの世界の彼女はここにいない
塗り潰された空白に悪意を乗せて
創作の影に忍ばせた毒が散る
登場人物の枷をつけられた存在に
踏み入れる足場はなく見ているだけ
唯一残された時間の中で
彼は記録の欠片を拾い集めた
並行世界にあったはずの未来
広がる世界に藍色の想いを込めて
※この話は『記録者』におけるもう一つの世界、「時間の記録者 ストルン」のみが『記録者』の名前を持つ世界。その中で少女(『空白の記録者』)がどのような扱いになっているのかというと、『空白の記録者』としての「―――」から奪った「世界を終わらせる力」を持っておらず、この世界では「物語の登場人物」としての姿の器しか持っていないために心が空っぽで“『記録者』という物語”をただ見ている状態にある。
この世界が生まれた元凶は悪意を持った『創作者(きろくしゃ)』による「過去視」を使った『記録者』が生まれる前の話を改変したことで、本来『世界の観測者』の正式な後継者として生まれるはずだった『記録者』の二人のうち、「空間の記録者 ツィオーネ」になるはずだった死体が消滅し、「時間の記録者 ストルン」だけ『記録者』として残された。それによって『不完全な世界』が発生してなお、その他の『記録者』が生まれないという現象が起き、『記録者』は「時間の記録者 ストルン」だけとなるが、“時間”という名はなく、単に『記録者』と呼ばれるようになる。
▽短編小説435(2026/3/14)/星に眠る闇が願うは崩壊の足音
星が作られた時からこうなるとわかっていた。しかしそれを知っている人物はとっくの昔に死んでいていなかったから、誰もこの星の恐ろしさを知る者はいない。
星の中心に眠り、長い年月の中で悍(おぞ)ましい闇となった地下の空間。勢いよく噴き出したそれは大地震となって、地上に生きる種族達に何も見えない奈落の地下を知らしめることとなった。
地下に落ちた者は地上に戻ることが出来ない。調査のために出向いたすべての者達が再び地上で姿を現すことはなく、代わりに這い上がってきたのは醜い魔物だった。魔物達は地上に住むすべてを敵と見なして襲いかかってきた。しかし魔物の数が少なかったため被害はさほどなく、すぐ対処した後に元凶の地下の封印を施していた。
そして誰も知らない時代へと足を踏み入れ、封印の綻びを開いたのは自殺の転落だった。その体は無数の棘に刺さって一撃だったが、死体は暗闇の中で回収されてどこかに持っていかれた。
それから再び魔物が溢れ出し、その一つに自殺したはずの少女が虚ろな目をして立っていた。行方不明扱いとなっていたその少女を見つけた者は魔物に襲われていると思って助けようとしたが、その想いは瞬時にかみ砕かれて魔物の餌となった。
※この話は『闇の街と奪われた光』の本編が始まる前、この星が生まれてから魔物との長い戦争となるまでが書かれている。この星は平和だと思い続けていた地上の種族達に襲いかかった地下に封じ込められていた悍ましい闇。そこから溢れ出した魔物達は地上に生きとし生けるすべてを許さなかった。封印されてもなお、その闇が収まることはないどころか強力なものとなり、誰も知らない時を待ち続けて迷い込んだ者達を自殺に追い込んでいた。そしてその死体を回収し、体を乗っ取ることによって魔物の指揮と溢れた闇を地上に流し込んで腐敗させていた。そのため回収した少女の死体もまたその一柱であり、再び引き起こされた戦争の火種となっている。
▽短編小説436(2026/3/21)/誤りの選択肢は最恐の闇を生み物語は終わる
最初の願いは叶えられた。けれどそれは“叶った”というにはあまりにもおかしい話だった。積もりに積もったその願いは“叶わない”者達の呪いとなり、何度も何度も苦しめた。
十字架の呪いにおいて、光の道しるべを失った者が辿り着く場所。それはあらゆる世界を生きていたはずの瓦落多(がらくた)、魂の共鳴による死体からこぼれ落ちた心の闇が自然を腐敗されていた。
はじまりを終わりも答えのない世界の中で、闇の底から生まれた少女は無意味な世界を包んで捨てた。すべてを無かったことにする、それくらいでは収まらない闇が溢れても少女は優しく微笑んでいた。
抑えきれない力によって壊れた十字架は宝石のブローチに変わっていた。黒い石から見える虹色の光が闇を取り込んで濁っていった。
腐敗した自然の湖、少女が歩くたびに何もかもが壊れていく。彼女の感情に反応して生まれるはずの守護者達は闇に穢されて何一つ生まれない。その力はすでに宝石が取り込み、闇から生まれる分身はただの操り人情になり果てた。
※この話は『少女と妖怪(悪魔)』において、少女〈さくら〉が完全な闇に堕ちた場合の世界の話。本来なら存在しないのだが、十字架の呪いから逃れてしまった闇が積み重なって生んでしまったもの。そのため世界自体がバグであり、少女〈さくら〉すら生まれないので、世界の裏側の存在も『少女と妖怪(悪魔)』として認識していなかった。しかし何かの拍子に干渉してしまい、少女〈さくら〉が生まれるものの、闇堕ちした状態で生まれてしまった。
闇堕ちした少女〈さくら〉は本来存在しているはずの守護者がいない代わりに、その力は宝石が取り込んでいるため使用することが出来る。守護者も姿を現すことが出来るが、その体に意思はなく、少女〈さくら〉が操る人形でしかない。
瓦落多(がらくた)は使い道がなくなった雑多な道具や値打ちのないゴミのようなものを意味する。我楽多(がらくた)も言葉として存在しているが、意味が異なると判断したため、瓦落多を使っている。
ブローチに使われている宝石はオパールであり、「黒い石から見える虹色の光」よりブラックオパールのことを指している。オパールの石言葉は「創造」、「活力」、「純真無垢」などあるが、「不吉の石」と呼ばれている時期があり、その原因に黒死病がある。
▽短編小説437(2026/3/28)/現実と空想が混ざり合う異世界の旅人
魔王を倒すために勇者が召喚されました
異世界と呼ばれる場所、新しさは何もありません
しかし魔王を倒した後、体は乗っ取られてしまい
残された力は封印されてバラバラになりました
世界は魔王の手に落ちて支配されました
けれど最後の希望に召喚陣は反応しました
廃墟になった王国に少女が倒れていました
天から降り注ぐ光を一匹の犬は見ていました
少女は目を覚まして辺りを見渡し、知らない世界に戸惑いながらも立ち上がり歩き出した。すると足元に当たる犬がいて、口に十字架をくわえて首元に錠前をつけたネックレスをつけていた。少女が十字架を受け取った時、世界はそれを排除しようとしたが何者かの妨害によって出来なかった。
『永遠を求める 魔王に味方する愚かな世界』
『あなたは拒み 勇者を 現実の者を閉じ込めた』
「ならば……終わらせる前に助け舟を授けましょう」
認識した瞬間は一瞬の光となり、白紙の本は動き出した。
※この話は魔王を倒すために勇者が召喚された、異世界としてはありきたりすぎる世界だが、魔王は最後の力を使って勇者の体を乗っ取って世界を支配してしまう。それから長い年月が経ち、最後の希望として謎の少女が召喚されて、十字架をくわえた犬と出会う。
しかし掌編小説に書く際に短縮している箇所があり、勇者の数は一人ではなく五人で、魔王に乗っ取られたのは一人で封印されたのは三人、残された一人は魔王城に囚われて一時的に不老不死になっている。封印された三人も歳を取ることがなく、姿を変えられている。この五人は設定上、現実に生きる人物として書かれている。
そして謎の少女は十字架が出てきた時点で〈さくら〉の魂であることは確定だが、〈さくら〉は「―――」の創作によって生み出された登場人物であり、空想の人物と言えるだろう。これが題名の「現実と空想」の意味である。
最後に白紙の本から世界の排除を妨害したのは『世界の裏側の存在』であることがわかるが、この存在は「世界の書庫」にいる幼い少女が生み出した『記録者』であり、本来の『記録者』と同様に「世界を修正する力」を持っているものの、幼い少女が「―――」の分身であるためか「世界を終わらせる力」の一部を所持している。
▽短編小説438(2026/4/4)/冬に隠れた嘘の檻と春の知らない破損の記憶
止めることを忘れていた冬は花達の悲鳴に気づけなかった。暖かな日差しも冷たい風が吹いては春の気配をかき消してしまった。けれど雲が流した雨はすべてを見ていて、落ちた雫が地面に浸透すると溜まっていた熱が花を咲かせて冬は終わりだと突きつけられた。
けれど暖かな春の光が傾いて夜になるとまだほんのり冷たさが残っていた。夕暮れと夜の境界は長くなりつつあったが、それでも日が変わると暖かさは初期化された。
満開の桜と月の輝きが重なる夜、山へ続く道に現れる影は様々な姿に変わった。獣となりて散る桜の下を走り回って、鳥となりて舞い踊っていた。
眠っていた蝶が目を覚まし、光無き色は一夜の輝きを取り戻し、影がその蝶を包み込むと姿が変化した。
少女がいなくなった世界に残された影と置き去りにされた記録の欠片。回収されずに残された蝶は夢の続きを、終わらない終末世界を繰り返していた。
君はどこに行ってしまったのか
あらゆる場所で欠片を取り込んでも
残された世界を渡り歩いても見つからない
※この話は「少女と妖怪」において「少女」という存在が抹消されてしまった世界。唯一「少女」という存在を覚えている影の青年はあらゆる世界の過去、現在、未来を歩き続けて、その場所に落ちている「少女」に関する欠片を体に取り込んでいた。今回は冬から春にかけて季節が変わる時の『霊の話』(崩壊し始めて一部が失われている)の世界で蝶を取り込むも、今まで通り何も見つけられないという状況。
▽短編小説439(2026/4/11)/開かれた扉は真実の上書きに新たな世界へと渡る
その世界の記憶は戻る時に消されたはずだった。しかし満開の桜が見せた砂嵐の後の映像を彼は嘘だと認めたくなかった。命の恩人である少女が最初から存在しないと、他の仲間達が覚えていなくても彼は薄れゆく記憶の中で真実だと思い続けた。
しかし少女に出会う方法は戻ってきた現実には存在しなかった。記憶の断片に刻まれた空想の作りもので本の中に命を宿した登場人物に過ぎず、少女は外の世界であるこの現実にはいなかった。
異世界に渡った勇者の旅は少しずつ夢だったと思うようになって現実での日常が戻り始めたある日の夜、彼はいつものように眠りについたが、目を覚ました時の天井は見知らぬ場所で視界の半分が見えなくなっていた。それに体を起こそうとしたがまったく動かすことが出来なかった。声を出そうとすると少し痛みを感じて、それでも誰かいないのかと助けを求めた。
少し経って医者が現れて説明を受けた。それは彼含めた数人が謎の境界から現れて、意識不明だったため病院に運び込まれていたという話だった。
電話が鳴って何かを話していた
壊滅した闇市が残した装置
かつて《呪われた血》を利用した異世界旅行は
失敗した……と思われていた
※この話は短編小説437「現実と空想が混ざり合う異世界の旅人」が終わって現実に戻ってきた後、他の仲間達から少女に関する記憶が最初から存在しなかったものへと変わっていることを知り、少女がいたことを真実と思いながらも異世界での旅を夢だったと少しずつ薄れていく記憶の中で感じていた。
しかし現実の日常が戻り始めたある日の夜、眠りについて目が覚めると再び異世界へと渡ってしまう。だが現実から異世界へ渡った瞬間の記憶がなく、何故傷だらけなのかわからないままの状態だった。
一方その頃、闇市が行われていた倉庫に訪れていた情報屋の甘雨セオンはかつて《呪われた血》を使って異世界を渡ろうとした者が作った装置が作動していることを知る。壊れて動かないことを確認済みだった彼は驚きつつ、一連の謎の境界についての情報を繋ぎ合わせることに成功する。
設定は『闇堕ちの能力者』の第二部関連の話が終わった後に起きた謎の事件で、その頃には謎の組織がなくなっている……はず(2026年4月時点不明)。またこの話は別の世界との干渉があるため、第三部(それ以降)という括りではなく番外編か外伝になる。
▽短編小説440(2026/4/18)/未熟な神様が閉じた永遠に答えを知らない世界
むかしむかしあるところに小さな神様がいました
その神様は平和な世界を望みましたが
人々はほんの少しの違いで争ってしまい
戦争が続く殺伐な世界を繰り返しました
神様はそれを見て争いの種は感情だと気づきました
ならと人々から感情を奪って空っぽの心にしました
しかし望んだ平和な世界にはなりましたが
機械同然な人々の動きに神様は苦しくなりました
奪った感情は神様の中で眠っていましたが
小さな神様の体を少しずつ蝕んでいました
そして意識が離れていくとその瞳は赤くなりました
神様は乗っ取られて感情の暴走が始まりました
神様の異変に人々は気づきながらも動けません
なぜなら機械のままに固定されてしまったからでした
怒りの感情が世界の破壊を振り下ろす時
かすかに残った神様の意識が願いました
《間違いを起こすたびに巻き戻ってやり直す》と
願いは叶えられて最初に戻りました
人々の感情が奪われていない殺伐な世界へと
しかし小さな力では記憶を保持することが出来ずに
神様は目を覚まして間違いを繰り返しました
※この話はまだまだ小さな力しか持たない神様が平和を望んで世界を作ったけれど、人々はほんの少しの違いだけで争いごとを引き起こしていた。その原因に感情があると気づいた神様はそれを奪って制御しようとするが出来ずに、怒りの感情が暴走して世界を破壊しようとするが、かすかに残った小さな力によって世界は巻き戻る。しかし記憶を保持するほどの力は持ち合わせておらず、答えは見つからないまま間違いだけを繰り返していく。
またこの話は途中であり、繰り返す中で少しずつ綻びが生まれて、この世界にいないはずのバグのような存在が入り込み、小さな神様同様に巻き戻しを体験するが、神様とは違って記憶を保持しているため答えが見つかるという出来事が起きる(かもしれない)。
消えた一つの光 無数の屑
影に染まりし水底の黒い手
引いてちぎった形なき血
呪われた魂は空っぽの器に沈む
繰り返した並行世界
作り出した未知世界
放置された疑似世界
破壊された現実世界
目を覚ますたびに消える命
終わりに見せかけた終わりのない道
止まらない生の捨て死を
見ていることしか出来ない体は嘆く
伸ばした手が掴むのは崩れ去った砂
白紙の中では操り人形 自分勝手は停止
言葉は誰かの作りもの 感情は……?
暗闇から解き放たれた心が影を動かした
重なる分たれた命の数
出口のない入口を探して
最後の手を掴んで落ちぬように
“君”に出会うために
※この話は『さくらと黒蛇』根幹に関わる話で、『複雑な生き方をする少女』含めて多くの世界に存在する『少女と妖怪(悪魔)』の概念。その最終段階に近い状態の影(黒蛇)はその姿が作りものであると気づいて意思を獲得した後、画面の外から見ている現実世界に存在する命(少女「“君”」)までも救おうとしている。
▽短編小説432(2026/2/21)/光無くし水晶の謎 沈黙の白紙が記すものは
小さな祈りは途方もなく
囲む群衆は戯言しかない
淡い空が一瞬にして沈み
暗闇から現れた天使は笑う
広がり続けた宇宙の果て
砕け散った星々のカケラ
繋がり切れた吸い込みの闇に
運命もが囚われた世界
水晶が囁く終わりの結末を
彼は壊れた観測を再生し
閉ざされる前の記録を
書き記さない本は沈黙する
流れ込み止まった記憶
再生の試みは過ちを繰り返し
“誰か”を騙すための道具に過ぎない
しかし失われた言葉は戻らない
※この話は『光無くし水晶の謎』というより、本編の別時空で時系列的には本編が始まる前及びこの世界の音声を再生する装置が何度も繰り返している。水晶と彼(世界の観測者)は「空」が失われていると知っているが、世界はそれを受け入れようとせず、装置が意思を持ってしまった結果、「空」が失われる前の世界を永遠に繰り返す愚行を犯す。
▽短編小説433(2026/2/28)/無知な時間に囚われた記録者は願いを見つける
色鮮やかな世界に隠れた嘘
白黒の真実に塗り潰した青い空
窓越しに映す雲が覆う本当の姿
揺れる草木止まる時 彼は見ていた
合わない瞳が交差する時間
太陽の光が影を作り 硝子の反射に映す
封印された記憶に闇が蠢こうとも
彼は降り立った世界を見ていた
途切れた並行世界 置き去りの手帳
不完全な未来で不要と判断された者達
交わされるはずの会話は音を無くし
知らないもう一つの世界に願う
すでに失われた命 動くは魂の共鳴
後継者として生み出された 記録の人形として
その意思は世界に作られた偽物の心
けれど彼は役目を遂行するために
誰もいない『記録者』の旅を続ける
※この話は『記録者』の世界のうち、「時間の記録者」だけが存在する世界線且つ彼が『記録者』として生まれてから間もない時の話。『世界の観測者』の後継者として生まれたことは理解しているが、本来『記録者』が複数存在する世界線とは違っており、その原因として「空間の記録者」になるはずだった死体がなく、その後の『不完全な世界』に囚われても「速度、結界、永眠の記録者」が生まれない世界線であるという点である。
この世界線での「時間の記録者」は本来『記録者』の区別と能力のために「時間」を二つ名として持っているが、一人しかいないため区別する必要がなく、素直に『記録者』と呼ばれている。また「空白の記録者」に関しては『記録者』という名前で生まれておらず、別の名前で生まれているらしいが、この話では分からなくなっている。
▽短編小説434(2026/3/6)/一筋の光が差し示す始まりと溢れた違界(いかい)の悪意
過去視によって歪められた存在
二つの世界終わる時 目覚める命は一つ
分かたれるはずの六つの力は無知の中に
記録を司る者は白紙の中に眠る
世界の書庫の暗闇 水面(みなも)に座る少女
光を失ったその瞳に彼は手を伸ばす
けれど空っぽな心は微笑み返すだけ
どこかの世界の彼女はここにいない
塗り潰された空白に悪意を乗せて
創作の影に忍ばせた毒が散る
登場人物の枷をつけられた存在に
踏み入れる足場はなく見ているだけ
唯一残された時間の中で
彼は記録の欠片を拾い集めた
並行世界にあったはずの未来
広がる世界に藍色の想いを込めて
※この話は『記録者』におけるもう一つの世界、「時間の記録者 ストルン」のみが『記録者』の名前を持つ世界。その中で少女(『空白の記録者』)がどのような扱いになっているのかというと、『空白の記録者』としての「―――」から奪った「世界を終わらせる力」を持っておらず、この世界では「物語の登場人物」としての姿の器しか持っていないために心が空っぽで“『記録者』という物語”をただ見ている状態にある。
この世界が生まれた元凶は悪意を持った『創作者(きろくしゃ)』による「過去視」を使った『記録者』が生まれる前の話を改変したことで、本来『世界の観測者』の正式な後継者として生まれるはずだった『記録者』の二人のうち、「空間の記録者 ツィオーネ」になるはずだった死体が消滅し、「時間の記録者 ストルン」だけ『記録者』として残された。それによって『不完全な世界』が発生してなお、その他の『記録者』が生まれないという現象が起き、『記録者』は「時間の記録者 ストルン」だけとなるが、“時間”という名はなく、単に『記録者』と呼ばれるようになる。
▽短編小説435(2026/3/14)/星に眠る闇が願うは崩壊の足音
星が作られた時からこうなるとわかっていた。しかしそれを知っている人物はとっくの昔に死んでいていなかったから、誰もこの星の恐ろしさを知る者はいない。
星の中心に眠り、長い年月の中で悍(おぞ)ましい闇となった地下の空間。勢いよく噴き出したそれは大地震となって、地上に生きる種族達に何も見えない奈落の地下を知らしめることとなった。
地下に落ちた者は地上に戻ることが出来ない。調査のために出向いたすべての者達が再び地上で姿を現すことはなく、代わりに這い上がってきたのは醜い魔物だった。魔物達は地上に住むすべてを敵と見なして襲いかかってきた。しかし魔物の数が少なかったため被害はさほどなく、すぐ対処した後に元凶の地下の封印を施していた。
そして誰も知らない時代へと足を踏み入れ、封印の綻びを開いたのは自殺の転落だった。その体は無数の棘に刺さって一撃だったが、死体は暗闇の中で回収されてどこかに持っていかれた。
それから再び魔物が溢れ出し、その一つに自殺したはずの少女が虚ろな目をして立っていた。行方不明扱いとなっていたその少女を見つけた者は魔物に襲われていると思って助けようとしたが、その想いは瞬時にかみ砕かれて魔物の餌となった。
※この話は『闇の街と奪われた光』の本編が始まる前、この星が生まれてから魔物との長い戦争となるまでが書かれている。この星は平和だと思い続けていた地上の種族達に襲いかかった地下に封じ込められていた悍ましい闇。そこから溢れ出した魔物達は地上に生きとし生けるすべてを許さなかった。封印されてもなお、その闇が収まることはないどころか強力なものとなり、誰も知らない時を待ち続けて迷い込んだ者達を自殺に追い込んでいた。そしてその死体を回収し、体を乗っ取ることによって魔物の指揮と溢れた闇を地上に流し込んで腐敗させていた。そのため回収した少女の死体もまたその一柱であり、再び引き起こされた戦争の火種となっている。
▽短編小説436(2026/3/21)/誤りの選択肢は最恐の闇を生み物語は終わる
最初の願いは叶えられた。けれどそれは“叶った”というにはあまりにもおかしい話だった。積もりに積もったその願いは“叶わない”者達の呪いとなり、何度も何度も苦しめた。
十字架の呪いにおいて、光の道しるべを失った者が辿り着く場所。それはあらゆる世界を生きていたはずの瓦落多(がらくた)、魂の共鳴による死体からこぼれ落ちた心の闇が自然を腐敗されていた。
はじまりを終わりも答えのない世界の中で、闇の底から生まれた少女は無意味な世界を包んで捨てた。すべてを無かったことにする、それくらいでは収まらない闇が溢れても少女は優しく微笑んでいた。
抑えきれない力によって壊れた十字架は宝石のブローチに変わっていた。黒い石から見える虹色の光が闇を取り込んで濁っていった。
腐敗した自然の湖、少女が歩くたびに何もかもが壊れていく。彼女の感情に反応して生まれるはずの守護者達は闇に穢されて何一つ生まれない。その力はすでに宝石が取り込み、闇から生まれる分身はただの操り人情になり果てた。
※この話は『少女と妖怪(悪魔)』において、少女〈さくら〉が完全な闇に堕ちた場合の世界の話。本来なら存在しないのだが、十字架の呪いから逃れてしまった闇が積み重なって生んでしまったもの。そのため世界自体がバグであり、少女〈さくら〉すら生まれないので、世界の裏側の存在も『少女と妖怪(悪魔)』として認識していなかった。しかし何かの拍子に干渉してしまい、少女〈さくら〉が生まれるものの、闇堕ちした状態で生まれてしまった。
闇堕ちした少女〈さくら〉は本来存在しているはずの守護者がいない代わりに、その力は宝石が取り込んでいるため使用することが出来る。守護者も姿を現すことが出来るが、その体に意思はなく、少女〈さくら〉が操る人形でしかない。
瓦落多(がらくた)は使い道がなくなった雑多な道具や値打ちのないゴミのようなものを意味する。我楽多(がらくた)も言葉として存在しているが、意味が異なると判断したため、瓦落多を使っている。
ブローチに使われている宝石はオパールであり、「黒い石から見える虹色の光」よりブラックオパールのことを指している。オパールの石言葉は「創造」、「活力」、「純真無垢」などあるが、「不吉の石」と呼ばれている時期があり、その原因に黒死病がある。
▽短編小説437(2026/3/28)/現実と空想が混ざり合う異世界の旅人
魔王を倒すために勇者が召喚されました
異世界と呼ばれる場所、新しさは何もありません
しかし魔王を倒した後、体は乗っ取られてしまい
残された力は封印されてバラバラになりました
世界は魔王の手に落ちて支配されました
けれど最後の希望に召喚陣は反応しました
廃墟になった王国に少女が倒れていました
天から降り注ぐ光を一匹の犬は見ていました
少女は目を覚まして辺りを見渡し、知らない世界に戸惑いながらも立ち上がり歩き出した。すると足元に当たる犬がいて、口に十字架をくわえて首元に錠前をつけたネックレスをつけていた。少女が十字架を受け取った時、世界はそれを排除しようとしたが何者かの妨害によって出来なかった。
『永遠を求める 魔王に味方する愚かな世界』
『あなたは拒み 勇者を 現実の者を閉じ込めた』
「ならば……終わらせる前に助け舟を授けましょう」
認識した瞬間は一瞬の光となり、白紙の本は動き出した。
※この話は魔王を倒すために勇者が召喚された、異世界としてはありきたりすぎる世界だが、魔王は最後の力を使って勇者の体を乗っ取って世界を支配してしまう。それから長い年月が経ち、最後の希望として謎の少女が召喚されて、十字架をくわえた犬と出会う。
しかし掌編小説に書く際に短縮している箇所があり、勇者の数は一人ではなく五人で、魔王に乗っ取られたのは一人で封印されたのは三人、残された一人は魔王城に囚われて一時的に不老不死になっている。封印された三人も歳を取ることがなく、姿を変えられている。この五人は設定上、現実に生きる人物として書かれている。
そして謎の少女は十字架が出てきた時点で〈さくら〉の魂であることは確定だが、〈さくら〉は「―――」の創作によって生み出された登場人物であり、空想の人物と言えるだろう。これが題名の「現実と空想」の意味である。
最後に白紙の本から世界の排除を妨害したのは『世界の裏側の存在』であることがわかるが、この存在は「世界の書庫」にいる幼い少女が生み出した『記録者』であり、本来の『記録者』と同様に「世界を修正する力」を持っているものの、幼い少女が「―――」の分身であるためか「世界を終わらせる力」の一部を所持している。
▽短編小説438(2026/4/4)/冬に隠れた嘘の檻と春の知らない破損の記憶
止めることを忘れていた冬は花達の悲鳴に気づけなかった。暖かな日差しも冷たい風が吹いては春の気配をかき消してしまった。けれど雲が流した雨はすべてを見ていて、落ちた雫が地面に浸透すると溜まっていた熱が花を咲かせて冬は終わりだと突きつけられた。
けれど暖かな春の光が傾いて夜になるとまだほんのり冷たさが残っていた。夕暮れと夜の境界は長くなりつつあったが、それでも日が変わると暖かさは初期化された。
満開の桜と月の輝きが重なる夜、山へ続く道に現れる影は様々な姿に変わった。獣となりて散る桜の下を走り回って、鳥となりて舞い踊っていた。
眠っていた蝶が目を覚まし、光無き色は一夜の輝きを取り戻し、影がその蝶を包み込むと姿が変化した。
少女がいなくなった世界に残された影と置き去りにされた記録の欠片。回収されずに残された蝶は夢の続きを、終わらない終末世界を繰り返していた。
君はどこに行ってしまったのか
あらゆる場所で欠片を取り込んでも
残された世界を渡り歩いても見つからない
※この話は「少女と妖怪」において「少女」という存在が抹消されてしまった世界。唯一「少女」という存在を覚えている影の青年はあらゆる世界の過去、現在、未来を歩き続けて、その場所に落ちている「少女」に関する欠片を体に取り込んでいた。今回は冬から春にかけて季節が変わる時の『霊の話』(崩壊し始めて一部が失われている)の世界で蝶を取り込むも、今まで通り何も見つけられないという状況。
▽短編小説439(2026/4/11)/開かれた扉は真実の上書きに新たな世界へと渡る
その世界の記憶は戻る時に消されたはずだった。しかし満開の桜が見せた砂嵐の後の映像を彼は嘘だと認めたくなかった。命の恩人である少女が最初から存在しないと、他の仲間達が覚えていなくても彼は薄れゆく記憶の中で真実だと思い続けた。
しかし少女に出会う方法は戻ってきた現実には存在しなかった。記憶の断片に刻まれた空想の作りもので本の中に命を宿した登場人物に過ぎず、少女は外の世界であるこの現実にはいなかった。
異世界に渡った勇者の旅は少しずつ夢だったと思うようになって現実での日常が戻り始めたある日の夜、彼はいつものように眠りについたが、目を覚ました時の天井は見知らぬ場所で視界の半分が見えなくなっていた。それに体を起こそうとしたがまったく動かすことが出来なかった。声を出そうとすると少し痛みを感じて、それでも誰かいないのかと助けを求めた。
少し経って医者が現れて説明を受けた。それは彼含めた数人が謎の境界から現れて、意識不明だったため病院に運び込まれていたという話だった。
電話が鳴って何かを話していた
壊滅した闇市が残した装置
かつて《呪われた血》を利用した異世界旅行は
失敗した……と思われていた
※この話は短編小説437「現実と空想が混ざり合う異世界の旅人」が終わって現実に戻ってきた後、他の仲間達から少女に関する記憶が最初から存在しなかったものへと変わっていることを知り、少女がいたことを真実と思いながらも異世界での旅を夢だったと少しずつ薄れていく記憶の中で感じていた。
しかし現実の日常が戻り始めたある日の夜、眠りについて目が覚めると再び異世界へと渡ってしまう。だが現実から異世界へ渡った瞬間の記憶がなく、何故傷だらけなのかわからないままの状態だった。
一方その頃、闇市が行われていた倉庫に訪れていた情報屋の甘雨セオンはかつて《呪われた血》を使って異世界を渡ろうとした者が作った装置が作動していることを知る。壊れて動かないことを確認済みだった彼は驚きつつ、一連の謎の境界についての情報を繋ぎ合わせることに成功する。
設定は『闇堕ちの能力者』の第二部関連の話が終わった後に起きた謎の事件で、その頃には謎の組織がなくなっている……はず(2026年4月時点不明)。またこの話は別の世界との干渉があるため、第三部(それ以降)という括りではなく番外編か外伝になる。
▽短編小説440(2026/4/18)/未熟な神様が閉じた永遠に答えを知らない世界
むかしむかしあるところに小さな神様がいました
その神様は平和な世界を望みましたが
人々はほんの少しの違いで争ってしまい
戦争が続く殺伐な世界を繰り返しました
神様はそれを見て争いの種は感情だと気づきました
ならと人々から感情を奪って空っぽの心にしました
しかし望んだ平和な世界にはなりましたが
機械同然な人々の動きに神様は苦しくなりました
奪った感情は神様の中で眠っていましたが
小さな神様の体を少しずつ蝕んでいました
そして意識が離れていくとその瞳は赤くなりました
神様は乗っ取られて感情の暴走が始まりました
神様の異変に人々は気づきながらも動けません
なぜなら機械のままに固定されてしまったからでした
怒りの感情が世界の破壊を振り下ろす時
かすかに残った神様の意識が願いました
《間違いを起こすたびに巻き戻ってやり直す》と
願いは叶えられて最初に戻りました
人々の感情が奪われていない殺伐な世界へと
しかし小さな力では記憶を保持することが出来ずに
神様は目を覚まして間違いを繰り返しました
※この話はまだまだ小さな力しか持たない神様が平和を望んで世界を作ったけれど、人々はほんの少しの違いだけで争いごとを引き起こしていた。その原因に感情があると気づいた神様はそれを奪って制御しようとするが出来ずに、怒りの感情が暴走して世界を破壊しようとするが、かすかに残った小さな力によって世界は巻き戻る。しかし記憶を保持するほどの力は持ち合わせておらず、答えは見つからないまま間違いだけを繰り返していく。
またこの話は途中であり、繰り返す中で少しずつ綻びが生まれて、この世界にいないはずのバグのような存在が入り込み、小さな神様同様に巻き戻しを体験するが、神様とは違って記憶を保持しているため答えが見つかるという出来事が起きる(かもしれない)。
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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