同期リラクタンスモーター(SynRM)の世界および日本市場:メーカー、シェア、トレンド予測2026
公開 2025/12/05 16:05
最終更新 -
同期リラクタンスモーター(SynRM)の定義と市場概況
同期リラクタンスモーター(SynRM)は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械エネルギー変換装置である。回転子磁界と固定子磁界の磁気ロックにより、モーターは常に同期回転数で動作する。2024年の世界の同期磁気抵抗モーター生産台数は90.51千台に達し、平均販売価格は2,349米ドル/台であった。



QYResearchが最新発表した「同期リラクタンスモーター(SynRM)―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」市場調査報告書によると、世界同期リラクタンスモーター(SynRM)市場規模は2024年の約213百万米ドルから2025年には236百万米ドルへ着実に成長し、予測期間中に12.2%の複合年間成長率(CAGR)で拡大を続け、 2031年には471百万米ドルに達する見込みである。
同期リラクタンスモーター(SynRM)市場規模(百万米ドル)、2024-2031年




上記データは、QYResearch報告書「同期リラクタンスモーター(SynRM)―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2025~2031」に基づく
主な推進要因:
1. 強制的な最高効率規格(IE5以上)に関する政策・規制の推進
2050年カーボンニュートラル目標の達成に向け、日本政府はモーターの効率規制を継続的に強化している。同期リラクタンスモーター(SynRM)は、IE5 さらにはそれ以上の効率クラスを満たす潜在力を本来的に備えており、既存主流である IE3 モーターが規制により置き換え対象となる際、成熟した技術として最も直接的なアップグレード代替案となり、市場の増加需要を確実なものにしている。
2. 高水準の産業用電力コストが促す自発的な省エネ投資
日本の産業用電力料金は世界的に見ても高い水準にあり、電力費は製造企業にとって主要な運営コストとなっている。同期リラクタンスモーター(SynRM)は部分負荷でも高効率を維持でき、水ポンプ、送風機、コンプレッサーなど連続運転機器の電力費削減に大きく寄与する。一般的に 1〜3 年の投資回収期間が見込まれ、企業の積極的な設備更新を後押ししている。
3. 高精度製造業・プロセス産業における極めて高い運転安定性要求
半導体、精密化学、高級食品・飲料などの日本のプロセス産業では、生産ラインの連続性・安定性が極めて重要である。同期リラクタンスモーター(SynRM)は、ローター構造が堅牢・簡素で、磁石の減磁リスクがなく、高い制御精度と低発熱を特長とするため、重要設備の信頼性と長期安定性を大幅に向上させ、突発停止による損失を低減する。
4. 成熟したインバーター産業が提供する高いシナジー効果
同期リラクタンスモーター(SynRM)が性能を発揮するには高性能インバーターとの組み合わせが不可欠である。日本には安川電機、三菱電機、富士電機など世界トップクラスのインバーターメーカーが存在し、「インバーター+SynRM」の高効率ドライブシステムとしてのエコシステムが高度に成熟している。これにより導入ハードルが下がり、市場教育と普及が加速している。
5. 産業オートメーションが求める高信頼性・低メンテナンス性への適合
同期リラクタンスモーター(SynRM)は、永久磁石モーターよりも耐熱性・環境適応性に優れた面があり、特定の産業用途で高く評価されている。これにより、製造業や自動化機器メーカーにおいて、更新・アップグレード候補として積極的に採用が進んでいる。

機会:
1. 電動車産業チェーンへの新たな参入機会
現在、電動車の主駆動モーターは永久磁石同期型が主流であるものの、EPS、電動エアコンコンプレッサー、冷却水ポンプなどの補機システムでは、コスト・信頼性・メンテナンスフリー性が重視される。同期リラクタンスモーター(SynRM)は無希土、高信頼性という特長を有し、この分野で優位性が高い。日本国内のEV生産量増加に伴い、関連市場は急拡大する見込みである。
2. 「モーター+ドライブ+IoT」統合型スマートソリューションの高付加価値化
日本における産業IoT導入が加速する中、同期リラクタンスモーター(SynRM)はインバーターとの高度統合やセンサー内蔵によって、電流・温度・振動・効率データをリアルタイムで取得し、予知保全やエネルギーマネジメントを実現する。製品販売から「スマートサービス」提供への転換は、付加価値と顧客ロイヤルティの大幅向上につながる。
3. 中小容量(30kW未満)領域における誘導電動機の大規模置き換え
この容量帯には膨大な誘導モーターのストックが存在するが、その効率は総じて低い。同期リラクタンスモーター(SynRM)は設計最適化と量産効果によってコスト低減が進みつつあり、高効率誘導モーター(IE4)に対するコストパフォーマンス優位性が次第に高まっている。これにより、送風機・ポンプなど幅広い用途において「ストック置き換え」需要が本格化する可能性が高い。
4. 水素エネルギー・蓄電産業など新戦略分野とのシナジー
日本は水素を将来の中核エネルギーと位置付けている。水素圧縮機、充填スタンドのポンプ、蓄電施設の液冷ポンプなどでは、防爆・高効率・高信頼性・長寿命が求められる。同期リラクタンスモーター(SynRM)の特性はこれら要求と高度に整合しており、国家戦略産業の成長とともに先行的な需要を獲得する見込みである。
5. 国内モーターメーカーの技術転換と生産能力強化需要
同期リラクタンスモーター(SynRM)分野では ABB や Siemens などの海外大手が先行しており、日本国内メーカーには技術追従と能力増強のニーズが強い。高性能シリコン鋼板や高度な SynRM 設計・製造技術を持つ企業にとって、技術ライセンス、合弁、サプライチェーン参入の絶好の機会となる。

制約する要因:
1. 高い初期導入コストが依然として最大の障壁
ライフサイクルコストでは有利であるものの、同期リラクタンスモーター(SynRM)の初期購入価格は同容量の標準誘導モーター(IE3)より高い。予算制約のある中小企業や、投資回収に敏感な企業にとっては依然として大きな導入障壁となる。
2. 市場認知不足と強い技術慣性
日本の産業界では、誘導モーターや永久磁石同期モーターの長年の使用実績があり、同期リラクタンスモーター(SynRM)の原理・利点・適用範囲に対する理解がまだ十分ではない。技術的保守性により、馴染み深い既存技術を選好する傾向が強く、市場教育にかかるコストが大きい。
3. インバーター性能とシステム調整に対する高い要求
同期リラクタンスモーター(SynRM)は、性能発揮が適合する高性能インバーターと高度な制御アルゴリズムに依存する。ユーザーやシステムインテグレーターはより高いメカトロ設計・調整能力を求められ、不適切な調整では振動・騒音や効率低下を招くリスクがある。
4. 他の無希土モーター技術との競合
脱レアアースに向けた技術として同期リラクタンスモーター(SynRM)が唯一の選択肢ではなく、スイッチトリラクタンスモーター(SRM)、外部励磁同期モーター(EESM)など他方式も開発が進む。高トルク密度や極端な低コストを要求する用途では、これらがSynRMに代替的な競合となる可能性がある。

この記事は、QYResearch が発行したレポート「同期リラクタンスモーター(SynRM)―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」
■レポートの詳細内容・お申込みはこちら
https://www.qyresearch.co.jp/reports/1151648/synchronous-reluctance-motor--synrm

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