猫の幸せ
公開 2025/04/04 07:49
最終更新
2025/04/04 07:49
幸せ、という言葉がある。俺はたぶん、幸せなのだと思う。だって、溜息が尽きないから。
昔は溜息すら出なかったから不幸だったのだろう。溜息をつくという発想すらなかった。
いつから、俺は幸せになったのだろう。
ボスに拾われてから? いや、違う。
山茶花に出会ってから? うーん、確かに笑うことは増えたけど、溜息まではいかなかったなあ。
波くんと出会ってから? いいや。楽しくはあったけれど。奪取、追跡、捜索、潜入。俺が、山茶花に頼らずにできることが全てできたのだから。自信もついたし、何より彼を手に入れる日を想うと笑いが零れた。
じゃあ、波くんと暮らすようになってから?
ああ、そうだ。彼と過ごすようになって、不安も、不満も、悲しみも、寂しさも。ちゃんと言葉にできた。あの頃は大変だったけど、毎日いろいろあって、何もない日なんてなくて。好きになれたんだ、自分のことが。
今でも彼を想うと溜息をつきそうになる。だが、駄目だ。溜息をついたら不幸になる。俺は、この幸せを手放す気はない。ーー溜息はつかない。
昔は溜息すら出なかったから不幸だったのだろう。溜息をつくという発想すらなかった。
いつから、俺は幸せになったのだろう。
ボスに拾われてから? いや、違う。
山茶花に出会ってから? うーん、確かに笑うことは増えたけど、溜息まではいかなかったなあ。
波くんと出会ってから? いいや。楽しくはあったけれど。奪取、追跡、捜索、潜入。俺が、山茶花に頼らずにできることが全てできたのだから。自信もついたし、何より彼を手に入れる日を想うと笑いが零れた。
じゃあ、波くんと暮らすようになってから?
ああ、そうだ。彼と過ごすようになって、不安も、不満も、悲しみも、寂しさも。ちゃんと言葉にできた。あの頃は大変だったけど、毎日いろいろあって、何もない日なんてなくて。好きになれたんだ、自分のことが。
今でも彼を想うと溜息をつきそうになる。だが、駄目だ。溜息をついたら不幸になる。俺は、この幸せを手放す気はない。ーー溜息はつかない。