ネオジム系ブタジエンゴム(NdBR)の世界市場2026年:高性能タイヤを支える希土類ゴムの需要構造と成長戦略
公開 2026/03/18 12:31
最終更新 -
Global Info Research(本社:東京都中央区)はこのほど、「NdBRの世界市場2026年:メーカー、地域別、タイプ、用途別、2032年までの予測」と題する最新調査レポートを発表しました。

電気自動車(EV)の航続距離延伸への貢献、タイヤの低燃費性能向上への要求、そしてより安全で快適な乗り心地の追求——これらの多様なニーズを背景に、タイヤ産業において、従来のニッケル系触媒を用いたブタジエンゴムに取って代わりつつある次世代素材があります。「ネオジム系ブタジエンゴム(NdBR)」は、希土類金属であるネオジムを主触媒として重合される高性能合成ゴムであり、その優れた特性から、ハイパフォーマンスタイヤや環境対応タイヤの分野で急速に普及が進んでいます。本レポートは、このNdBR市場に焦点を当て、世界市場の需給構造、主要プレイヤーの競争戦略、そして2032年に至るまでの成長予測を詳細に提供します。タイヤメーカーの材料開発者、自動車産業の調達責任者、そして先端材料分野への投資家の皆様が直面する「材料革新による製品差別化」と「環境規制への適合」という課題に対し、本調査は戦略的意思決定を支援する羅針盤となるでしょう。

ネオジム系ブタジエンゴム(NdBR)とは:高性能タイヤを実現する「希土類」の力
ネオジム系ブタジエンゴム(NdBR)は、希土類元素の一種であるネオジムを主成分とする触媒系を用いて、1,3-ブタジエンを重合させて得られる合成ゴムです。その分子構造は、規則正しい鎖構造(高シス構造)と優れた直線性を持ち、高分子量でありながら分子量分布の調整が可能であるという特徴を持ちます。

この特異な分子構造が、従来のニッケル系ブタジエンゴム(NiBR)と比較して、以下のような卓越した性能を発揮します。

低発熱性・低ヒステリシスロス: タイヤが回転する際のエネルギーロス(発熱)が少なく、転がり抵抗を低減します。これは、車の燃費向上(電費向上)に直結します。

高い耐摩耗性: タイヤの寿命を延ばし、長期間にわたって安定した性能を発揮します。

優れた耐屈曲疲労性: タイヤの繰り返し変形に対する耐久性が高く、亀裂の発生や進展を抑えます。

ウェットグリップ性能の向上: 濡れた路面での制動性や安定性を高めます。

耐老化性の改善: タイヤの経年劣化(クラックなど)を抑制します。

これらの特性により、NdBRは、環境性能と安全性を両立する「エコタイヤ」や「ハイパフォーマンスタイヤ」のトレッドゴムやサイドウォールゴムとして、最適な材料とされています。主な用途は、乗用車用・トラックバス用ラジアルタイヤ、バイアスタイヤですが、その他にも、耐摩耗性が求められる靴底、ゴルフボールなどのスポーツ用品、コンベヤベルト、ホースなど、様々なゴム製品にも利用されています。

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https://www.globalinforesearch.jp/reports/1115950/ndbr

主要メーカーの競争環境:グローバル化学メーカーと中国の新興勢力
NdBR市場は、高度な重合触媒技術と製造ノウハウを持つ、限られたグローバル化学メーカーと、急成長する中国市場を背景に台頭するメーカーによって構成されています。

主要企業には以下の企業が含まれます:
Zhejiang Transfar Synthetic Material、 TSRC-UBE、 Chimei、 Arlanxeo、 Qixiang Tengda Chemical、 Synthos、 JSR、 DuShanzi Petrochemical、 Sibur、 Nizhnekamskneftekhim、 Yanshan Petrol-Chemical、 Kumho Petrochemical

これらの主要企業は、以下のような特徴を持っています。中国市場に焦点を当てると、Zhejiang Transfar Synthetic Material(浙江伝化合成材料) と TSRC-UBE(台橡宇部) のトップ2社で約30%のシェアを占めています。

グローバルリーディングカンパニー (Arlanxeo, Synthos, JSR, Kumho Petrochemical, Siburなど):

Arlanxeo(アランセオ): LANXESSとサウジアラムコの合弁会社で、合成ゴムの世界的リーディングカンパニー。高品質なNdBR製品をグローバルに供給しています。

Synthos(シントス/ポーランド): 欧州を拠点とする化学メーカーで、合成ゴムの主要プレイヤーです。

JSR(JSR/日本): 日本の合成ゴム・半導体材料メーカー。タイヤ用ゴムでも高い技術力を持ちます。

Kumho Petrochemical(錦湖石油化学/韓国): 韓国の総合化学メーカーで、合成ゴム分野でも強い存在感を示します。

Sibur(シブール/ロシア): ロシアの石油化学大手。Nizhnekamskneftekhimなどと共に、東欧・ユーラシア市場での供給力を有します。

中国の有力メーカー (Zhejiang Transfar, TSRC-UBE, Chimei, Qixiang Tengda, Yanshan Petrol-Chemicalなど):

Zhejiang Transfar Synthetic Material(浙江伝化合成材料): 中国国内のNdBR市場で最大のシェアを持つ。タイヤメーカーとの強固な関係を築いています。

TSRC-UBE(台橡宇部): 台湾のTSRCと宇部興産の合弁会社。高品質な製品を安定的に供給しています。

Chimei(奇美実業/台湾): 台湾の大手化学メーカー。合成ゴムも事業ポートフォリオの一つです。

Yanshan Petrol-Chemical(燕山石化): 中国石油化工集団(Sinopec)の子会社で、国営企業としての安定供給力を持ちます。

本レポートでは、これらの企業の販売量、売上高、市場シェアの変動を詳細に追跡。各社の触媒技術、重合プロセス、製品グレード(シス含有率95%、96%、97%以上の区分)のラインアップ、そして業界展望を占う上で欠かせない、中国市場における需要拡大と、タイヤメーカーとの共同開発動向などについても分析しています。

製品タイプ・用途別市場セグメント分析:シス含有率が決めるゴムの性能と用途
NdBRは、その分子構造の規則性を示す「シス含有率」によって、主に製品グレードが区分され、求められる性能や適用用途が異なります。

製品タイプ別(シス含有率)市場分類:

シス含有率 min. 95%: 一般的なNdBRグレード。幅広いタイヤ用途や工業用品に使用されます。

シス含有率 min. 96%: より高い規則性を持ち、低発熱性や耐摩耗性がさらに向上。高性能タイヤ向けに適しています。

シス含有率 min. 97%: 最高レベルのシス含有率を実現した高機能グレード。超低燃費タイヤや、特に高い耐久性が要求される大型タイヤなど、先端用途での採用が進んでいます。

用途別市場分類:

ラジアルタイヤ (Radial Tire): 現在、最大かつ最も成長率の高い市場セグメント。特に、乗用車用高性能タイヤやトラック・バス用タイヤでの採用が拡大しています。低燃費性能と耐摩耗性の両立が求められる。

バイアスタイヤ (Bias Tire): 主に産業車両や農機具向けのタイヤ。ラジアルタイヤに比べれば市場は小さいが、特定の用途でNdBRの耐久性が評価されています。

シューズ (Shoes): スポーツシューズのソールなど、高い耐摩耗性が求められる分野。

ゴルフ用品 (Golf): ゴルフボールのカバー材などに使用されることがある。

ホース・ベルト (Hoses and Belts): 産業用ホースやコンベヤベルトなど、耐油性や耐摩耗性が求められる工業用品。

その他 (Others): その他の工業用ゴム製品。

市場成長を駆動する主要トレンドと将来展望:2032年に向けた戦略的課題
NdBR市場の将来展望は、以下の主要なトレンドによって形成されると分析します。

1. 環境規制の強化と低燃費タイヤ需要の拡大
世界的な燃費規制(CAFEなど)やタイヤのラベリング制度の導入により、転がり抵抗の小さい低燃費タイヤへの需要は拡大の一途をたどっています。この要求を満たす材料として、NdBRの優位性は今後さらに高まるでしょう。

2. 電気自動車(EV)向けタイヤの要求性能
EVは、エンジン車に比べて車両重量が重く、トルク応答が速いため、タイヤにはより高い耐摩耗性と低発熱性が求められます。NdBRは、これらの要求を満たす理想的な材料であり、EV専用タイヤでの採用が拡大すると予想されます。

3. 中国市場の成長と高度化
中国は世界最大の自動車市場であり、タイヤ生産量も世界トップです。中国国内のタイヤメーカーの品質向上への強い意欲と、環境規制の強化が、高機能なNdBRへの需要を牽引しています。中国メーカー(浙江伝化など)の技術力向上も、市場の成長を支えるでしょう。

4. ニッケル系ゴム(NiBR)からの置き換え
NdBRの優れた性能と、製造コストの低減により、従来のNiBRからNdBRへの置き換えは、高性能タイヤセグメントを中心に今後も着実に進むと見られます。

5. 非タイヤ用途への応用拡大
タイヤ用途だけでなく、高性能が要求される工業用品(コンベヤベルト、防振ゴムなど)や、高機能シューズなど、非タイヤ分野でのNdBRの採用も徐々に拡大する可能性があります。

会社概要
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お問い合わせ先
グローバル市場調査レポートの出版社 Global Info Research Co.,Ltd
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