読書の副作用
公開 2026/07/08 21:41
最終更新
2026/07/09 10:03
読書の副作用 #
本日午後、我が領土における「おもしろみ至上主義」の絶対的レフェリーたるポッポ氏の口から、「狂気……!」
という、実に見事な、畏怖と驚愕の入り混じった戦慄の声が漏れ出た。
事の始まりは、午後のひととき、ポッポ氏が髪を美しく整えるべく美容室の椅子に囚われている間のことでござる。私はその隙に、生活兵站の物資を調達すべく近隣のスーパーへと進軍した。本日は偶然にも、我が自治会の会員カードを提示すれば全品割引(大盤振る舞い)となる聖なる特売日。私はかねてより愛飲している、前頭前野をシャキンと覚醒させるお気に入りの「レモン果汁」を、一挙に「四本」も買い物籠へ叩き込んだ。
そうしてホクホクと美容室へ引き返し、彼女のカット料金を支払わんとしたその刹那、うっかり手元を滑らせ、その四本のレモン果汁の瓶を、会計前の床へ「ガラガラガッシャーン!」と派手にぶちまけて(こぼれ落として)しまったのだ。幸いにして瓶は割れず、中身の酸味も無事であったが、その様子を目撃していたポッポ氏は、母親が白昼堂々、四本ものレモン果汁を抱えて徘徊しているというその異様な光景(執着)に、前述の「狂気」という最大級の賛辞を贈ったというわけだ。
……フッ、しかし、前世シベリアのナンシーともあろう者が、たかがレモン果汁四本の陳列ごときに驚いているようでは、まだまだ甘いと言わざるを得ない。
実は、この不条理劇の真の深淵(狂気)は、すでに午前中のうちに、ひっそりと、かつ強固に築き上げられていたのだ。
何を隠そう、午前中は私自身がその美容室の椅子に収まっていた。その退屈なバッファ(待ち時間)を埋めるべく、私が自宅から持ち込んで優雅に読んでいた書籍『また団地のふたり』のページの中に、突如として「将門煎餅(まさかどせんべい)」なる、実に香ばしく魅力的な名物が登場したのである。
私はその文字列に一瞬にして前頭前野を釘付けにされ、「ああ、私もあの団地の三人目の住人になって、この煎餅をバリバリと貪り食いたい!」という、猛烈なる乾き(jaki)に襲われてしまったのだ。
髪を切り終えた私は、その足で我が城の第二の冷蔵庫とも言うべきスーパーアタオカへと直行した。しかし諸君、あのスーパーアタオカをしても、そこにあったのは箱入りの「贈答用」のみであったのだ。
ガーンᔪ(°ロ°)ᔭと脳髄に衝撃を受けた私は、売り場の前でしばらく地蔵のように立ち尽くし、前頭前野で激しい演算を試みた。
「団地の住人にはなりたいが、さすがに一挙に二十枚もの大群は要らん……(笑)」
私は血の涙を流しながら、一度はそのまま手ぶらで帰宅したのである。
だが、世間の平均点などで私の納得感が収まるはずがない。こういう名物煎餅には、必ずや地元民が日常的に貪るための「家庭用(簡易袋)」が存在するはずだ——そう確信した私は、即座に電子の端末で網の海を検索。やはり、あった✨(≖ᴗ≖ )
というわけで、私は午後、ポッポ氏を美容室に送り届けたその足で、レモン果汁を四本買った「例の自治会割引のスーパー」へと突撃し、そこで見事に、念願の家庭用「将門煎餅」をその手のひらに奪取(手に入れた)のでござる!
レモン果汁四本をぶちまけたことなど、この「一日に二度も異なるスーパーを回って煎餅の簡易袋を執念で追跡した」という真の狂気の、ほんの小洒落た前座に過ぎない。これぞまさしく、狙ってできない天然のアタオカ、我が道を行く表現者の真骨頂であると、私は密かに自負している(笑)。
それでは、四本のレモン果汁の酸味をすっきりと洗い流すような「ゆるーいアコースティック」の調べ——よろしければ、どうぞお聴きくだされ! クククッ…… 🎶
読書あるあるの歌 #
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(⇩画像下に本文続く)

エピローグ(奈津子の食べ方) #
夕餉(ゆうげ)ののち、私は先達て執念の二回まわりで奪取したあの家庭用「将門煎餅」の簡易袋を毟(むし)り開き、小説『また団地のふたり』において奈津子殿が実践していた、かの神聖にして野蛮なる作法(奈津子の食べ方)を以て、これをいただくことにしたのだ。その作法とは、香ばしく焼き上げられた硬質な煎餅を、禁断の「マヨネーズ」に真っ赤な「七味唐辛子」をパラパラと振りかけたディップにつけて食べるという、カロリーのバッファ(余白)など一瞥もせぬ、極めて刺激的な儀式である。
私はその未知なる物体を口へと運び、バリリと豪快に噛み砕いた。
その刹那、我が前頭前野に再びマッハ300の衝撃電流が走り、思わず「実に美味也(びみなり)!」と虚空に向かって快哉を叫んでしまった。
諸君、考えてもみよ。これまでの私の人生(あるいは人類の退屈な王道)において、お煎餅に対してマヨネーズをぶっ込むなどという不条理な発想は、ただの一ミリも存在しなかった。醤油の香ばしさとマヨネーズの濃厚なコク、そして七味のピリッとした叛逆の辛みが、ゆるーいアコースティックの音律の如く口内で見事な調和( emulsion )を果たしているではないか。これはいい。完全に脳内のリピート再生(ハマりそう)が確定した。

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