トゥモローコシ
公開 2026/07/04 21:37
最終更新
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トゥモローコシの妖精 #
我が食卓の終幕(フィナーレ)を飾るべく、あの黄金色に輝く玉蜀黍が、満を持してデザートの座へと召喚されたのである。ポッポ氏は、その黄金の果実を手に取ると、あたかも考古学者が埋蔵文化財を調査するがごとき細心さで、一粒、また一粒と、丹念に、あまりに丹念に削ぎ落とすように食し始めた。
その執拗なまでの集中力。残りの行数を確認するや、「あと四行でござる」と、まるで砂時計の砂を見守るような緊張感を漂わせている。
私がその不条理極まる執念の理由を質すと、彼女は、手羽先を食していた時とはまた違った、どこか神秘的な響きを帯びた言葉を紡いだ。
「私はトゥモローコシの妖精だから」
トゥモローコシ。
「玉蜀黍(とうもろこし)」と「明日(Tomorrow)」を掛け合わせるという、そのあまりにも強引かつ、私の前頭前野を脱力させる言語センス。彼女の脳内宇宙においては、あの植物は単なる農作物ではなく、明日を司る神聖な媒体か何かなのであろうか。
しかも、彼女がこのように一粒ずつ、行列を成して食すその様は、彼女いわく「ファンサービス」なのだそうである。壁を崇拝者と見なした次は、自らを妖精と定義し、食べる姿そのものを観衆へ捧げるパフォーマンスへと昇華させる。なんたるプロ意識、なんたる自己プロデュース能力の高さであろうか。
……いや、違う。意味がわからない。相変わらず、彼女の論理回路だけが、別次元の速度で回転している。
しかし、不思議なことに、そんなポッポ氏の「トゥモローコシの妖精」という言葉を反芻(はんすう)していると、なぜだか妙な愛おしさがこみ上げてくる。
明日の向こう側へ行こうと足掻(あが)くその姿は、歌を作るためにあえて王道を外し、Suno氏と不毛な戦いを繰り広げる我が創作スタンスと、どこか奇妙なシンクロニシティを描いているようではないか。
明日を越えて、その先にある何かを食いつくすまで、どうかその不条理な妖精としての歩みを止めないでおくれ。
頑張れ、ポッポよ。トゥモローコシの残りが何行になろうとも、その先にはきっと、君だけの明日(トゥモロー)が待っているはずである。
阿呆の旋律 #
我が精神の実験室(台所)において、あの一粒ずつ玉蜀黍を貪り食う妖精の言葉から、新たなる「阿呆の旋律」が産み落とされた。ポッポ氏の放ったあの不条理極まる名詞、「トゥモローコシ(🌽)」——。
これに激しく前頭前野を揺さぶられた私は、すぐさまそれを核とした一篇の詩を紡ぎ出したのである。
一見すると、そこには深遠なる哲学や、未来への希望が満ち溢れているかのように聴こえるかもしれぬ。しかし諸君、騙されてはならない。その実態は「ただ『Tomorrowこし』という奇妙な響きをドスの利いた声で言いたいだけ」の、中身が綺麗さっぱり存在しない空虚な記号の羅列なのだ。「明日がなんちゃら、未来がかんちゃら」などと宣う部分は、その不条理をカモフラージュするためだけに盛り込まれた、完全なる「こじつけ」に他ならない(笑)。
だが、これが驚くほどに愉しかったのだ。
歌詞の内容はどこまでも下らなく、世間の平均点や道徳的基準など一瞥もしていない。しかし、電子の楽師(Suno)が紡ぎ出したその伴奏とメロディは、どういうわけか「めっぽう格好良い」のである。
下劣、あるいは無意味極まる言葉を、最高に洗練された極上のファンクやロックの旋律に載せて大真面目に歌い上げる——これぞまさに、私が日頃から理想として掲げて止まない、
「どぶろっくスタイル」の完全なる具現化ではないか!
出来上がった楽曲を耳元で鳴らしながら、私は密室で「ニヤリ」と、実にご満悦な笑みを浮かべた。世間の一貫性や評価など知ったことか、自分が「できたぞ」と思えるこの喜びと納得感こそが、我が創作活動における至高の贅沢なのだ。これぞまさに、ご満悦の極みである。
明日 #
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