しらす
公開 2026/06/09 20:47
最終更新
2026/06/25 14:42
我が城の食卓において、海の恵みたる「しらす」を食しておった時のことである。
器の底に幾ばくかのしらすが残留しておるのを見認めた私は、これを全て胃袋に収めることが可能か否か、対面に座すポッポ氏へと至極単純なる問いを投げかけてみた。
然るに、氏は箸を止めて虚空を凝視し、「……人生」と、地平線の彼方を見つめるかの如き深遠なる声で呟くではないか。
私は些(いささ)か困惑し、「私はただ、食えるのか食えぬのか、その白黒明確なる二択の回答を求めておるのだ」と、論理的包囲網を以て氏を厳しく追及せり。しかし、氏は頑(かた)くなまでに己の領分を譲らず、「否、此の純白なるしらすの一粒一粒こそは、私の歩んできた、そしてこれから歩むべき『人生』そのものに他ならぬのだよ」などと、理解不能極まる哲学的一考をのたまうのであった。
小さな魚の群れを前にして、何故それほどまでに壮大なる概念を背負わねばならぬのか、我が凡百の脳髄を以てしては全く以て理解の範疇を超えておる。
しかしながら、結局のところ、しらすを狂おしいまでに愛するポッポ氏は、その「己の人生」とやらに一切の容赦をすることなく、残されていたしらすを最後の一粒に至るまで、猛然と、そして完璧にたいらげてみせたのである。
己の人生を丸ごと胃袋に収めるとは、やはりあの女、ただ者では無い。
器の底に幾ばくかのしらすが残留しておるのを見認めた私は、これを全て胃袋に収めることが可能か否か、対面に座すポッポ氏へと至極単純なる問いを投げかけてみた。
然るに、氏は箸を止めて虚空を凝視し、「……人生」と、地平線の彼方を見つめるかの如き深遠なる声で呟くではないか。
私は些(いささ)か困惑し、「私はただ、食えるのか食えぬのか、その白黒明確なる二択の回答を求めておるのだ」と、論理的包囲網を以て氏を厳しく追及せり。しかし、氏は頑(かた)くなまでに己の領分を譲らず、「否、此の純白なるしらすの一粒一粒こそは、私の歩んできた、そしてこれから歩むべき『人生』そのものに他ならぬのだよ」などと、理解不能極まる哲学的一考をのたまうのであった。
小さな魚の群れを前にして、何故それほどまでに壮大なる概念を背負わねばならぬのか、我が凡百の脳髄を以てしては全く以て理解の範疇を超えておる。
しかしながら、結局のところ、しらすを狂おしいまでに愛するポッポ氏は、その「己の人生」とやらに一切の容赦をすることなく、残されていたしらすを最後の一粒に至るまで、猛然と、そして完璧にたいらげてみせたのである。
己の人生を丸ごと胃袋に収めるとは、やはりあの女、ただ者では無い。
大日本御茶目會 會員
県北民都會出陣統括本部・総代
草の山教・広報
レモン塩麹揉み師一級
トキポナ蒐集人
全国胡乱歌曲連盟 加盟
音楽魔術(Suno)にて胡乱歌曲製造中↓
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