【Skeb御礼】御宿 望月シリーズ他【蝶華さま】
公開 2024/12/31 21:00
最終更新
2024/12/31 21:12
御宿 望月シリーズ他 #
御宿 望月:https://www.pixiv.net/novel/series/9212558
(他)
ハーフ&ハーフ:https://www.pixiv.net/novel/series/8525225
ある主従の話:https://www.pixiv.net/novel/series/8525238
たくさんのカップリングを楽しめるリクエストをいつもありがとうございます!
自分では思いつかないような要素を持つキャラクターを形成するのが楽しく、シリーズ内外で「場所」「時間軸」を共有する格好で、各キャラが他人であったり知人であったりと交錯する人間関係をもつ世界観がとても好きです。
今年も大変お世話になりました。
いつも沢山の感想をいただくのが楽しみで、Skebのリクエスト通知を開く時にウキウキします。
蝶華様も良いお年を迎えられますように!
SSSでは、たぁかしくぅん✕聖さんの初詣の様子をお送りいたします
* * *
「まぁまぁまぁ!聖ちゃんの晴れ着は背筋がシュッとしていいわねえ~!
貴ちゃんと違って本当によく似合うこと!
みゆきさんそっくりで綺麗な目元が優しげでいいわぁ、眉毛はお父さん似?」
「あらやだ女将さんたらお上手なんだから。
振る舞いがおっつかない子でまだまだお恥ずかしいですよ!
本人は昔っからあたしに似てるのが嫌だって、コンタクトをやめてまで眼鏡で目元を隠すくらいなんですから」
「男の子ってそうよね。女親に似てるって言われるのを妙~~~~に嫌がるの!
うちもそうだったわぁ。まぁでも貴ちゃんは若い時のうちの人っぽくなってきたし、将来は狸よた・ぬ・き」
「そんなそんな!貴くんは背もすらっと高くて色男で羨ましいですよぉ!
立ち居振る舞いも綺麗だし仕事もできて、やっぱり女将さんの子だわ~」
「……あっち近寄るのやめとこーねぇ聖さん」
「同感です。」
「なんでオカン同士って茶ぁしばくと秒で仲良くなるんだろうねえ。
毎年盆と正月迎えるたびこうなんのかって思うと気が重いかも。この格好もさぁ……」
「二人して絶対に晴れ着で記念写真と言ってきかなかないとは……。
うちの母も乗り気で全く人の話を聞かない始末でしたよ」
「普通はさぁ、女の子の役目なんじゃないの着せ替え人形にされるってのは。
なんで俺等が被害にあってんの。おっかしいでしょ……。
見なよ、親父らなんか早々にあーんなとこまで逃げてやんの、しかも飲んでるし!」
「元旦の初詣は寒いですから……私達も甘酒でも貰いに行きましょう」
「二人が画像チェックに忙しい今がチャンスチャンス~っと」
「せめてもう少し昼頃とかにしてほしいところでしたが。
何もこんな寒い時間帯を選ばなくてもとは思いますよ」
「ほんっとにねぇ。朝7時集合とか……深夜に並ぶよりある意味きついっていうかさ。
あーさっぶいさっぶい、ちょっとあっちの豚汁も食べよ」
「屋台が多かったのがせめてものですね。
着物を汚さないように気を遣うところは少々大変ですが」
「朝飯済ませちゃおうと思ってたけど、こりゃたこ焼きとかはやめといたほうが良いよね」
「まぁ帰ったら宴席ですから、それまで抑えめでいましょう。
その時にはさすがにこの格好も終わりでしょうから」
「男二人の袴姿の何がそんなに良いのって思ってたけどさ……。
もうあの二人の目的はアレでしょ、アレ」
「まぁうちの母もですが、女将なんて輪をかけて自由に出かけることなど殆ど無いでしょうから。
たまの祝日に発散できるなら女性としてははしゃぎたくなるものなんでしょうね」
「何なら自分らの着物選びの口実に俺等を連れ回した説さえあるでしょ、お袋たち」
「気合の入り方が違いすぎますからねえ……」
「一報親父らは親父らで、自分の嫁を放置っていうさ」
「アレが最終的な姿と思うと何とも言えないといいますか」
「男女で数十年ってなるとやっぱナチュラルに分離するのが正解なのかもね。
文句言わずについてきてやって、金と車だけだしてやってってさ」
「それはそれで少々虚しくはありますが……」
「若者はくっついてイチャイチャしてドッキドキってのでいいんだと思うよ?
でも年食ってくると結局は同性と固まってるほうが気が楽ってもんじゃない、いい意味でさ。
お袋たちだって褒め上手でもないおっさんに無理に相手されるより、女同士の方が楽しそーだよ」
「男組と比べてずっと盛り上がっていますしねえ。絵馬まで買おうとしてますし。
振り袖から小物まであんなにしっかり着込んでいる母は初めて見ましたよ」
「片や親父らはもう熱燗片手にじっとしちゃってんじゃん。
境内見て回るでもなくおみくじ引くでもなく、ずっと同じとこで雑談で時間つぶすだけ」
「こういう場所だと吸い込まれるように男は群れますよね……」
「女の子を邪魔しないってのも、まぁ男として正しい選択ではあるケドさ」
「この歳で父たちの立場を理解する日が来るとは思いもよりませんでしたよ」
「と、まぁ。そういう熟練夫婦の生態観察は程々にしとこっか。
何も俺らまであーいうのを目指す必要はないしー?」
「え、あのっ?たかっ……貴くん……!?」
「おわ、聖さん手ぇつめった!手袋くらいしときなよー。今2度だよ2度」
「今日も運転のつもりだったので手袋は自分の車の中に……ってそうではなくて!
な、なんですか急に、その、て、手を繋いだりなんかして……?」
「いや動揺しすぎでしょ、俺らカップルよカップル。
一応聖さんの旦那やってんだけどこっちは」
「い、え……その、人前でこういうことをするのは……っ」
「そんなルール無いでしょ。
言ったじゃん、若いのはくっついてイチャイチャしてりゃいいって」
「イチャ……──── !?」
「新婚カップルが文字通りの初詣に揃って来たら、腕組んで手ぇ繋いでベタベタするもんなの。
男女の組み合わせの例は十分見たでしょ。俺らは俺らでいーんだよ」
「話のつながりが、あんまりその……見えないといいますか」
「俺らは互いに気を遣ってやる必要も、隅っこで時間潰す必要も無いじゃん。
くっついて一緒に歩いてお参りしたりおみくじ引いたり、ぜーんぶ一緒にやるよ。
甘酒と豚汁すすってビール1杯飲んで、串焼きも食べたいなあ~テイクアウト用の買おうかな」
「……また随分と、色々ですね」
「そ?こんくらいフツーでしょ。
聖さんは何したい?食べたいもんとかある?遠慮とか禁止だかんねー」
「…………。」
「あ!お守り買う?ここ何で有名だっけ、全然調べてこなかったからわかんないな。
まぁ色々売ってるだろうし見ながら決めればいっか」
「──── 君はこういう時ばっかり頼もしいですよ。困った人ですね」
石畳を踏み外し、適当な手の合わせ方なのに賽銭箱には白い封筒を投げ入れ、結局注意していた袖の汚れをつけて帰る君は、冷気の入り込む隙間がないほど私を掴んで放さない。
女将に小言を言われながら、若旦那の名のもとに正月早々宴席でこき使われるそんな貴くんを見ていると、未だ形のない何かに尻込みをする自分が馬鹿馬鹿しくてすっかり肩の力も抜けてしまう。
君と私は歩みだしている。
この先私や君の両親の様になっていくのか、あるいは全く異なる有り様へ進むのか。
何一つわからなくてもいい。君はそう思わせてくれる。
「若旦那~、熱燗こっち足りませーん」
「大旦那様飲み過ぎですよ!お顔までこんなに真っ赤にされて!
誰彼構わず敬語を使い始めたらレッドサインですって!」
「厨房から女将が戻ったらドヤされますよ……すっかりヘベレケになられて……」
「まーだまだのめまーす、無礼講、無礼講」
「大旦那様のテーブルから酒を外しておきなさいとあれほど!」
自分の父親である大旦那様を放ったままでも、親戚周りから若旦那という単語で囃し立てられても、君のいつも通りが私にも驚くほどに伝播する。
こういうのもなかなか悪くない感覚なのだと。
きっといつかではなく、なるべく早く、伝えたいですね。
「大旦那様、大……お義父さん、飲み過ぎは体に障りますから」
そうすれば私もきっと君を少し驚かせてあげられるでしょうから。
「っむ……義息子が、義息子が~~~~俺を親父と呼んでくれ……っ
出来のいい方の息子がぁ……なんてぇめでたい日ですかねぇ……!?」
「駄目だ完全に出来上がってます。貴くん!女将を呼んできて下さい!あと水!」
「はーあー、ついに聖さんにもパシられんだ俺ってば。
ていうか出来のいい方と悪いほうが居るみたいな発言は親としてどーなの」
憎まれ口のようなセリフをこぼすくせに少しうれしそうに浮かれる君の肩口。
その後姿がなんだかとても、好きでした。
Fin.
