PAL(Permissive Action Link)
公開 2026/08/03 22:22
最終更新
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🐾
灼熱の夏。
しかし男たちが汗まみれになっていたのには、他にも理由があった。
匍匐前進をしながら迷彩服に倍速で年季を入れていく。
ピーピーピー! ピンポインターが反応した。地中約8センチ以内に対人地雷(クレイモア)がある!
しかし男たちは慣れた手つきでナイフを使い、着実に地雷を撤去していった。
この非武装地帯(DMZ)を抜ければ何があるというのか?
「見えてきたぞ!」
ひとりの男が指さした先には、灰色に煤ぼけた建物があった。
ミリタリーカフェ「PAL(Permissive Action Link)」である。
「帰ってきたぜぇ、我が故郷によ……ふん、相変わらず血と硝煙の香りが漂ってやがる…………」
「サー! ご注文をお伺いしてもよろしいでしょうか、サー!」
客を出迎えたのはM4カービンをフル武装で構えた店員。
「みんなに『ブリティッシュNo.69(テキーラブラックボール)』を」
「サー、イエッサー! ETAはテン・マイクです、サー!」
ETAは到着予定時刻、テン・マイクは10分を意味する。
ズガガガガガッ!! なんの前触れもなくひとりの男性客が、天井に向けてAK-47(ソ連製)をフルオートでぶっ放した。
「ショットグラスでウォッカなんぞ飲めるか! ボトルごと持ってこい! おいそこのお前! 『資本主義ほう助罪』でシベリア送りにされたいのか!? 東側のスパイをナメるなよ!?」
彼は常連客であり、酒癖はかなり悪い。
カウンターの端には、冷戦期を思わせるクラシックな“赤い防爆電話”が置かれている。
酔った男がCIAに電話し、「シックスだ、“北”に単独で潜伏中。セーフハウスはどこにある?」などと話している。
電話の向こうからCIA女性職員の素っ気ない返事が返ってきた。
「まず大使館に向かいなさい」
「国交のない国に大使館があるなんて初耳だな」と男。
「C4爆薬仕立てのガトーショコラ……これは“スパイス”が効いていて美味いね」
「俺は9mmパラベラム弾の『おかわり』をしてくる」
「じゃあついでに5.56mmNATO弾も頼むよ」
併設された「対物ライフル用射撃レーン」は今日も大盛況だ。標的はドローン。
重量が10kg以上のバレットM82で、縦横無尽に動き回るドローンを追尾するという不条理なゲーム。
だが12.7mmの巨大な弾丸には、命中すれば確実に標的を粉砕(ワンショットキル)するというロマンが尽きない。
MRAP(耐地雷・伏撃防護車両)のターボディーゼルエンジンが、低く重たい「ドロドロドロ……」というアイドリング音を立てて店の外に停車した。
「マナーがなってないな」
カフェの店主が対戦車ミサイル(ATGM)を用いて、MRAPの装甲を貫通。
モンロー・ノイマン効果を利用した成形炸薬の威力たるや凄まじいもので、約50万ドルが一瞬で黒煙の中に滅した。
「またのお越しを」
「新実存主義なんぞ生ぬるい! 何が『ダーウィン炎』だ! 俺らには『サハロフ水素』がある!」
「ツァーリ・ボンバ! グラウンド・ゼロ!」
狂乱の宴は続いていく。
還元主義の最終爆発――“メガ・ボイルド”の訪れを“静かに”待ちながら――――
灼熱の夏。
しかし男たちが汗まみれになっていたのには、他にも理由があった。
匍匐前進をしながら迷彩服に倍速で年季を入れていく。
ピーピーピー! ピンポインターが反応した。地中約8センチ以内に対人地雷(クレイモア)がある!
しかし男たちは慣れた手つきでナイフを使い、着実に地雷を撤去していった。
この非武装地帯(DMZ)を抜ければ何があるというのか?
「見えてきたぞ!」
ひとりの男が指さした先には、灰色に煤ぼけた建物があった。
ミリタリーカフェ「PAL(Permissive Action Link)」である。
「帰ってきたぜぇ、我が故郷によ……ふん、相変わらず血と硝煙の香りが漂ってやがる…………」
「サー! ご注文をお伺いしてもよろしいでしょうか、サー!」
客を出迎えたのはM4カービンをフル武装で構えた店員。
「みんなに『ブリティッシュNo.69(テキーラブラックボール)』を」
「サー、イエッサー! ETAはテン・マイクです、サー!」
ETAは到着予定時刻、テン・マイクは10分を意味する。
ズガガガガガッ!! なんの前触れもなくひとりの男性客が、天井に向けてAK-47(ソ連製)をフルオートでぶっ放した。
「ショットグラスでウォッカなんぞ飲めるか! ボトルごと持ってこい! おいそこのお前! 『資本主義ほう助罪』でシベリア送りにされたいのか!? 東側のスパイをナメるなよ!?」
彼は常連客であり、酒癖はかなり悪い。
カウンターの端には、冷戦期を思わせるクラシックな“赤い防爆電話”が置かれている。
酔った男がCIAに電話し、「シックスだ、“北”に単独で潜伏中。セーフハウスはどこにある?」などと話している。
電話の向こうからCIA女性職員の素っ気ない返事が返ってきた。
「まず大使館に向かいなさい」
「国交のない国に大使館があるなんて初耳だな」と男。
「C4爆薬仕立てのガトーショコラ……これは“スパイス”が効いていて美味いね」
「俺は9mmパラベラム弾の『おかわり』をしてくる」
「じゃあついでに5.56mmNATO弾も頼むよ」
併設された「対物ライフル用射撃レーン」は今日も大盛況だ。標的はドローン。
重量が10kg以上のバレットM82で、縦横無尽に動き回るドローンを追尾するという不条理なゲーム。
だが12.7mmの巨大な弾丸には、命中すれば確実に標的を粉砕(ワンショットキル)するというロマンが尽きない。
MRAP(耐地雷・伏撃防護車両)のターボディーゼルエンジンが、低く重たい「ドロドロドロ……」というアイドリング音を立てて店の外に停車した。
「マナーがなってないな」
カフェの店主が対戦車ミサイル(ATGM)を用いて、MRAPの装甲を貫通。
モンロー・ノイマン効果を利用した成形炸薬の威力たるや凄まじいもので、約50万ドルが一瞬で黒煙の中に滅した。
「またのお越しを」
「新実存主義なんぞ生ぬるい! 何が『ダーウィン炎』だ! 俺らには『サハロフ水素』がある!」
「ツァーリ・ボンバ! グラウンド・ゼロ!」
狂乱の宴は続いていく。
還元主義の最終爆発――“メガ・ボイルド”の訪れを“静かに”待ちながら――――
